当科における腹腔鏡下子宮全摘術の検討

【はじめに】近年, 婦人科領域における腹腔鏡下手術の技術は着実に進歩している. 子宮全摘術においては, 腹腔鏡下の腟式全摘術の適応が拡大されている. 当科においても, 子宮内膜症の有無, 未産, 経産を問わず, 原則として新生児頭大までの子宮筋腫または子宮腺筋症を適応としている. 今回はより安全な手術を行うことを目的に, 術式や症例の差により, どの程度手術による侵襲に差があるのかを後方視的に検討した. 【対象, 方法】2000年から2004年までに行った腹腔鏡下子宮全摘術は100例であった. これを未産群(32例), 経産群(67例)またはlaparoscopically assisted...

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Hauptverfasser: 中澤学, 廣井久彦, 清木孝之, 山口俊一, 小山哲, 伊藤正典, 山本直子, 大須賀穣, 藤原敏博, 西井修, 矢野哲, 堤治, 武谷雄二
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:【はじめに】近年, 婦人科領域における腹腔鏡下手術の技術は着実に進歩している. 子宮全摘術においては, 腹腔鏡下の腟式全摘術の適応が拡大されている. 当科においても, 子宮内膜症の有無, 未産, 経産を問わず, 原則として新生児頭大までの子宮筋腫または子宮腺筋症を適応としている. 今回はより安全な手術を行うことを目的に, 術式や症例の差により, どの程度手術による侵襲に差があるのかを後方視的に検討した. 【対象, 方法】2000年から2004年までに行った腹腔鏡下子宮全摘術は100例であった. これを未産群(32例), 経産群(67例)またはlaparoscopically assisted vaginal hysterectomy(LAVH)群(77例), laparoscopic hysterectomy(LH)群(23例)に分類し, 手術時間(分), 出血量(g), 術後入院日数(日)について比較検討した. 【結果】未産群(32例), 経産群(67例)の比較では平均手術時間(分)はそれぞれ214.8, 194.8, 平均出血量(g)は336.7, 506.6, 術後平均入院日数(日)は6.4, 6.0であり, 両群の間に有意な差は認めなかった. LAVH群, LH群の比較では, 平均手術時間(分)は200.4, 204.1, 平均出血量(g)は527.6, 208.5, 術後平均入院日数(日)は6.3, 5.4であり, LAVH群のほうが, 平均出血量は有意に多く, 術後平均入院日数は有意に長かった. 【考察】未産, 経産の比較では差はなく, 同程度の手術侵襲で腹腔鏡下手術が行われていた. LHは腹腔鏡操作の割合が多いが, 今回の検討では適切な症例選択のため, LAVHよりも少ない手術侵襲となっている可能性が示唆された. 腹腔鏡操作の難易度については他の要因が関わっていることも考えられ, 今後更に検討を加えていくことが必要である.
ISSN:1884-9938