チョコレート嚢腫合併不妊症例における腹腔鏡下手術の効果
卵巣チョコレート嚢腫は, 卵胞発育障害や卵管の卵子pick-up障害, 腹腔内環境の悪化などが, 不妊原因となっていると考えられる. 他に不妊原因の無いチョコレート嚢腫合併不妊症例に関しては, 治療方針としてART(assisted reproductive technology)を優先するべきか, 外科的治療を優先するべきかは議論の余地が多い. 当科では, このような症例に対して検査や治療的な意味から積極的に腹腔鏡下手術をおこなっている. 今回, 他に不妊原因のないチョコレート嚢腫合併不妊症例30例を対象に腹腔鏡下手術を行い, その妊娠率を検討しARTとの比較を行った. 【対象と方法】200...
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Zusammenfassung: | 卵巣チョコレート嚢腫は, 卵胞発育障害や卵管の卵子pick-up障害, 腹腔内環境の悪化などが, 不妊原因となっていると考えられる. 他に不妊原因の無いチョコレート嚢腫合併不妊症例に関しては, 治療方針としてART(assisted reproductive technology)を優先するべきか, 外科的治療を優先するべきかは議論の余地が多い. 当科では, このような症例に対して検査や治療的な意味から積極的に腹腔鏡下手術をおこなっている. 今回, 他に不妊原因のないチョコレート嚢腫合併不妊症例30例を対象に腹腔鏡下手術を行い, その妊娠率を検討しARTとの比較を行った. 【対象と方法】2002年8月から2005年2月までの2年半のあいだ, 他に不妊原因のないチョコレート嚢腫合併不妊症例30例を対象に施行された腹腔鏡下手術について, 後方視的に検討した. 【結果】対象の平均年齢は32.3±3.9歳, 不妊期間は3.1±4.5年, チョコレート嚢腫全体の腫瘍径は3.7±1.2cmであった. 29例に体内法で嚢腫核出が施行され, 開腹術への移行や輸血, 入院期間の延長するような合併症を呈した症例は認めなかった. 術後10例(ART3例, 非ART7例)の妊娠例を認め, 術後妊娠率は33.3%であった. 妊娠例, 非妊娠例の比較では年齢, 不妊期間, r-AFSscoreに有意差を認めなかった. 腹腔内観察の結果, ARTへ移行せずに経過をみたのは20例であり, 7例(35.0%)に術後8ヶ月以内の妊娠成立を認めた. 同時期の子宮内膜症のみが原因のART施行例の妊娠率は34.6%であった. 【考察】腹腔鏡下手術は低侵襲であり, 他に不妊原因を認めないチョコレート嚢腫合併不妊症例に対して, ART移行への判断という検査意義だけでなく, ARTに匹敵する治療効果が得られると考えられ, 積極的に腹腔鏡下手術を施行する方針は妥当であると考えられた. |
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ISSN: | 1884-9938 |