流産手術時の子宮穿孔による腸管損傷の一例

子宮内容除去術の合併症として子宮穿孔による腸管損傷がある. この腸管損傷は, 適切な処置を取らないと致命傷となりうることから積極的な対応が求められる. 今回稽留流産に行った子宮内容除去術の際, 子宮穿孔が疑われた患者に対し腹腔鏡検査を施行し, 腸管損傷を認めた症例を経験したので報告する. 症例は32歳, 0回経妊0回経産, 前医にて体外受精にて妊娠成立. 妊娠9週稽留流産にて子宮内容除去術を施行したが子宮穿孔を起こし, この際腸管損傷の疑いもあることから当院へ紹介となり緊急腹腔鏡検査を施行した. 腹腔内所見は子宮は後傾後屈, 腹腔内出血が約55mlあり, 子宮体部前壁に約5mm径の穿孔部を認め...

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Hauptverfasser: 丸山綾, 長田尚夫, 清水八尋, 山本範子, 永石匡司, 松浦眞彦, 山本樹生
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:子宮内容除去術の合併症として子宮穿孔による腸管損傷がある. この腸管損傷は, 適切な処置を取らないと致命傷となりうることから積極的な対応が求められる. 今回稽留流産に行った子宮内容除去術の際, 子宮穿孔が疑われた患者に対し腹腔鏡検査を施行し, 腸管損傷を認めた症例を経験したので報告する. 症例は32歳, 0回経妊0回経産, 前医にて体外受精にて妊娠成立. 妊娠9週稽留流産にて子宮内容除去術を施行したが子宮穿孔を起こし, この際腸管損傷の疑いもあることから当院へ紹介となり緊急腹腔鏡検査を施行した. 腹腔内所見は子宮は後傾後屈, 腹腔内出血が約55mlあり, 子宮体部前壁に約5mm径の穿孔部を認めた. これを腹腔鏡下に縫合したが, 穿孔部が大きいことから腸管損傷の有無を検索したところ, 回腸末端から数十cmの小腸漿膜に数箇所損傷を認めた. 一部の小腸漿膜の損傷は腹腔鏡下に漿膜縫合を行い修復したが, 1ヶ所の小腸漿膜欠損部が大きく腹腔鏡下にて修復が不可能な為, 外科に相談の結果, 腸管の穿孔はないものの欠損部が大きく, また壁内に血腫を認めたため, 外科にて虚血部を含めて約5cmの腸管切除し端々吻合を施行した. 術後経過は, 術後3日目より飲水開始, 術後8日目より流動食を開始した. 術後18日偽膜性腸炎を併発したが, 塩酸バンコマイシン内服にて症状軽快し術後29日退院となった. 術後2ヶ月で施行の子宮卵管造影検査では特記すべき所見を認めず, 以後不妊治療を再開している. 子宮穿孔部ならびに腸管漿膜損傷部を腹腔鏡下にて治療し, 積極的な腹腔鏡検査により, 腸管部分切除を要する腸管損傷を認めた. 子宮穿孔による他臓器の損傷が疑われる症例では, 腹腔鏡のみならず積極的に開腹手術へ移行することも重要であると考えられた.
ISSN:1884-9938