腹腔鏡下補助下膣式子宮全摘術の尿管損傷について

当院では1997年より腹腔鏡下補助下膣式子宮全摘術(以下LAVHと略す)を導入して本年3月までに293症例に対してこの術式を施行した. この間皮下気腫, トロッカー穿刺部位からの再出血, 腸管損傷, 膀胱損傷等も経験した. 尿管損傷は7例であった. 患側は右が4例, 左が3例で, 損傷部位は膀胱より頭側5cmまで, 摘出子宮重量は200gから950gと様々であった. 損傷の程度は尿管の完全切断3例, 部分損傷2例, 圧迫による狭窄2例であった. 損傷の時期は腹腔鏡的操作中が3例, 膣式操作が4例であった. 損傷の原因は腹腔鏡的操作では子宮動脈と尿管を剥離同定している時に部分損傷が2例, ヘモク...

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Hauptverfasser: 窪田与志, 小笠原良治, 大見健二, 堀芳秋
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:当院では1997年より腹腔鏡下補助下膣式子宮全摘術(以下LAVHと略す)を導入して本年3月までに293症例に対してこの術式を施行した. この間皮下気腫, トロッカー穿刺部位からの再出血, 腸管損傷, 膀胱損傷等も経験した. 尿管損傷は7例であった. 患側は右が4例, 左が3例で, 損傷部位は膀胱より頭側5cmまで, 摘出子宮重量は200gから950gと様々であった. 損傷の程度は尿管の完全切断3例, 部分損傷2例, 圧迫による狭窄2例であった. 損傷の時期は腹腔鏡的操作中が3例, 膣式操作が4例であった. 損傷の原因は腹腔鏡的操作では子宮動脈と尿管を剥離同定している時に部分損傷が2例, ヘモクリップがかかった狭窄例が1例であった. 膣式操作では鋏による尿管の切断が3例で, 1例は縫合糸による狭窄と考えられた. 損傷に気付いた時期では手術中が3例で, 2例の尿管の完全切断の場合には異常な出血量の増加が見られ, もう1例は超音波メスでの操作中に損傷部位からの尿の流出を認めたことであった. 術後に気付いた症例では腹腔よりのドレナージ排液の増加と腰痛があり, 3日目にDIPで診断された部分損傷1例, 腹部不快感が出現し同様に5日目にDIPで診断された完全切断1例があった. 尿管の狭窄を来たした2症例は無症状で1週間後のDIPで始めて指摘された. 修復は術中に気付いた切断例はその場で泌尿器科的手術が行われた. 術後気付いた部分損傷例は尿管ステントを留置, 5日目に診断された完全切断1例は開腹による尿管新吻合術が, クリップによる狭窄例は腹腔鏡下にクリップを除去した. 縫合糸による狭窄例は開腹による狭窄解除が必要であった. 摘出子宮の大きさについても一定の傾向はなく, 有効な予防策は見当たらなかったが, 出来る限り早期に異常を発見し, 確実な術後対策をたてることがその後の様々なトラブルを軽減する意味でも重要であると考えられた.
ISSN:1884-9938