腹式と腹腔鏡下手術の術後疼痛に関する検討
【目的】患者のQOLの向上を目的に, 婦人科領域でも低侵襲である腹腔鏡下手術が普及してきた. 腹腔鏡下手術は創部の大きさのみならず, 術後疼痛も少なく社会復帰が早いといわれている. しかし, 腹腔鏡下手術の疼痛を評価した報告は少ない. 今回, 腹式手術と腹腔鏡下手術の術後疼痛に関しての比較検討をおこなった. 【方法】対象は2003年の1月から12月までに当院で行った子宮筋腫及び子宮腺筋症の手術322例とした. 開腹手術は81例(39.9±7.2才)で, 腹腔鏡下手術は241例(36.6±5.3才)であった. 術後疼痛管理には開腹手術のみ持続硬膜外麻酔(0.2%ロピバカイン200ml, 4ml/...
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Zusammenfassung: | 【目的】患者のQOLの向上を目的に, 婦人科領域でも低侵襲である腹腔鏡下手術が普及してきた. 腹腔鏡下手術は創部の大きさのみならず, 術後疼痛も少なく社会復帰が早いといわれている. しかし, 腹腔鏡下手術の疼痛を評価した報告は少ない. 今回, 腹式手術と腹腔鏡下手術の術後疼痛に関しての比較検討をおこなった. 【方法】対象は2003年の1月から12月までに当院で行った子宮筋腫及び子宮腺筋症の手術322例とした. 開腹手術は81例(39.9±7.2才)で, 腹腔鏡下手術は241例(36.6±5.3才)であった. 術後疼痛管理には開腹手術のみ持続硬膜外麻酔(0.2%ロピバカイン200ml, 4ml/h)を50時間施行し, 両群とも疼痛が強く本人の希望があった場合に, ジクロフェナク坐剤(ボルタレンR)50mgの使用, もしくはペンタゾシン(ソセゴンR)30mgとヒドロキシジン(アタラックスPR)50mgの筋肉注射を, 使用間隔を5時間以上として投与した. それぞれ術後疼痛のVAS(帰室直後, 1時間, 3時間, 6時間, 翌日)と追加鎮痛剤の投与回数を比較検討した. 【結果】VASmedian(range)は腹式で帰室直後, 1時間, 3時間, 6時間, 翌日でそれぞれ2(0-10), 3(0-8), 2(0-7), 2(0-9), 3(0-8)で, 腹腔鏡下ではそれぞれ5(0-10), 3(0-10), 3(0-10), 2.5(0-8), 3(0-8)であった. Mann-Whitney検定で帰室時にp=0.00, 1時間後にp=0.01で有意差を認めた. 坐剤の使用回数は両群とも0から2回までで, 腹式と腹腔鏡下手術に有意な差は認められなかったが, 筋肉注射の使用回数は腹式で0から2回腹腔鏡下手術で0から3回までと, 腹腔鏡下に若干多い傾向が認められた. (p=0.04)【結論】術後の疼痛に関しては, 帰室直後と1時間後までに腹腔鏡下手術が有意に疼痛が強い傾向があったが, その後の痛みに関しては特に有意差が認められなかった. 術後に座薬や筋肉注射を追加することにより, 十分な疼痛管理ができると思われ, それに加えて, 腹腔鏡下手術では硬膜外麻酔がないゆえに早期離床のメリットを損なわず, 患者のQOL向上が可能であると思われた. |
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ISSN: | 1884-9938 |