腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術における経口抗菌薬投与の試み

【はじめに】腹腔鏡下手術の術後感染発症阻止薬として多くの施設で静脈用抗菌薬を2~3日間投与している. 腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術は, 術後早期より内服が可能であるため, 最小感染阻止化学療法の導入が期待される. 我々は腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術における経口抗菌薬投与について検討した. 【対象および方法】対象は2004年1月より2005年3月までに日本大学板橋病院婦人科において腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術行った卵巣嚢腫患者18例を対象とした. 抗菌薬levofloxacin(LVFX)100mgを術前日より12時間ごとに5日間投与した群(8例)と, 第2世代セフェム(CMZ)ないしはペニシリン系抗生剤を手術当...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Hauptverfasser: 千島史尚, 渡邉由紀子, 太田啓明, 椙田賢司, 山本範子, 高田眞一, 栃木明人, 山本樹生
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:【はじめに】腹腔鏡下手術の術後感染発症阻止薬として多くの施設で静脈用抗菌薬を2~3日間投与している. 腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術は, 術後早期より内服が可能であるため, 最小感染阻止化学療法の導入が期待される. 我々は腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術における経口抗菌薬投与について検討した. 【対象および方法】対象は2004年1月より2005年3月までに日本大学板橋病院婦人科において腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術行った卵巣嚢腫患者18例を対象とした. 抗菌薬levofloxacin(LVFX)100mgを術前日より12時間ごとに5日間投与した群(8例)と, 第2世代セフェム(CMZ)ないしはペニシリン系抗生剤を手術当日術前より12時間ごとに1から3日間静脈内投与した群(10例)において, 術後感染症の有無を検討し, 更に有熱期間, 白血球数, CRP値を比較した. 【結果】(1)術後感染はLVFX経口投与群と, 抗生剤静脈内投与群の両群いずれにおいても認められなかった. (2)有熱期間はLVFX経口投与群1.10±0.56日, 抗生剤静脈内投与群は1.12±1.12日であり両群間に有意差は認められなかった(p=0.95). (3)術後1日, 4日の白血球数はLVFX経口投与群9450±1327/ml, 6544±2442/mlであり, 抗生剤静脈内投与群, 10800±10012/ml, 6485±2039/mlであり両群間に有意差は認められなかった(p=0.57, p=0.055). (4)術後4日のCRP値はLVFX経口投与群1.70±1.90mg/dl, 抗生剤静脈内投与群, 1.05±1.62mg/dlであり両群間に有意差は認められなかった(p=0.45). 【結論】腹腔鏡下卵巣嚢腫摘出術においてニューキノロンの経口投与は第2世代セフェム(CMZ)ないしはペニシリン系抗生剤静脈内投与に匹敵する感染予防効果をもつ可能性がある.
ISSN:1884-9938