子宮動脈塞栓術後, 子宮鏡下に切除可能であった"胎盤ポリープ"の1例

"胎盤ポリープ"は, 遺残胎盤をもとに発生する易出血性の腫瘤で, 手術操作に伴い大量出血をきたす可能性があり, その対応に苦慮することがある. 今回我々は, 胎盤ポリープに対し, 子宮動脈塞栓術と子宮鏡手術を併用し, 輸血を回避しつつ, 子宮を温存することができた症例を経験したので報告する. 症例は35歳女性. 主訴は産褥の持続性性器出血であった. 前医にて平成15年10月20日(妊娠40週0日)に2600gの男児を経膣分娩している. 同日, 癒着胎盤のため胎盤用手剥離術を施行された. 12月4日(産褥44日目)赤色悪露が持続していたため前医を受診したところ, 超音波上子宮...

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Veröffentlicht in:日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2004, Vol.20 (1), p.167-167
Hauptverfasser: 佐藤朝臣, 立岩尚, 森岳樹, 杉本幸司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:"胎盤ポリープ"は, 遺残胎盤をもとに発生する易出血性の腫瘤で, 手術操作に伴い大量出血をきたす可能性があり, その対応に苦慮することがある. 今回我々は, 胎盤ポリープに対し, 子宮動脈塞栓術と子宮鏡手術を併用し, 輸血を回避しつつ, 子宮を温存することができた症例を経験したので報告する. 症例は35歳女性. 主訴は産褥の持続性性器出血であった. 前医にて平成15年10月20日(妊娠40週0日)に2600gの男児を経膣分娩している. 同日, 癒着胎盤のため胎盤用手剥離術を施行された. 12月4日(産褥44日目)赤色悪露が持続していたため前医を受診したところ, 超音波上子宮腔内に高エコーを呈する腫瘤を指摘され, 子宮内膜掻爬術を勧められた. セカンドオピニオンを求めて12月5日当科初診. 当科での超音波断層法でも血流豊富な子宮内腫瘤を認めた. hysterosonographyを施行したところ, 子宮底から後壁に茎を有する径3cm大の腫瘤であることが判明したが, その後多量の性器出血をきたしショック状態となったため, 緊急入院となった. ヘモグロビン値は7.1g/dlまで低下しており, 放射線科の協力により, ゼルフォームを用いた子宮動脈塞栓術を施行したところ性器出血は著明に減少した. 12月6日, 子宮鏡手術を施行し, 腫瘤を摘出した. 術中出血は少量であった. 病理組織診断は, 主に高度に変性した遺残胎盤組織であり, 1部に硝子化した平滑筋腫が認められた. 子宮動脈塞栓術後の子宮血流の評価のため, 術後2ヶ月目にMR angiographyを施行したところ, 左子宮動脈は再開通していたが, 右子宮動脈の血流は低下した状態であった. 子宮筋層は均一に造影され, 明らかな血流低下部位は認められなかった. 胎盤ポリープに対し, 子宮動脈塞栓術と子宮鏡手術の併用法は出血を回避しつつ子宮を温存可能な優れた方法である.
ISSN:1884-9938