子宮内腔に隆起する病変の診断と経頸管的切除術(TCR)
子宮内腔に隆起する病変に対し, 経頸管的切除術(TCR)を行うことが増加している. 今回われわれはTCRを施行した症例について術前と術後の診断を中心に検討した. 対象は2000年1月から2004年4月までに当科でTCRを行い, 術後に病理組織診断がなされた57症例である. TCR前には, 子宮内腔病変に対して経膣超音波検査, ヒステロファイバースコープ検査, 電子子宮鏡などを施行し画像的に術前診断を行った. 全例子宮内膜細胞診に異常は認めていない. 不正出血などの症状と合わせて手術適応を判断した. 術前診断は粘膜下子宮筋腫41例, 子宮内膜ポリープ14例, 胎盤遺残1例, 子宮内膜癌の疑い1例...
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Zusammenfassung: | 子宮内腔に隆起する病変に対し, 経頸管的切除術(TCR)を行うことが増加している. 今回われわれはTCRを施行した症例について術前と術後の診断を中心に検討した. 対象は2000年1月から2004年4月までに当科でTCRを行い, 術後に病理組織診断がなされた57症例である. TCR前には, 子宮内腔病変に対して経膣超音波検査, ヒステロファイバースコープ検査, 電子子宮鏡などを施行し画像的に術前診断を行った. 全例子宮内膜細胞診に異常は認めていない. 不正出血などの症状と合わせて手術適応を判断した. 術前診断は粘膜下子宮筋腫41例, 子宮内膜ポリープ14例, 胎盤遺残1例, 子宮内膜癌の疑い1例であった. 術後の病理組織検査から術前診断が子宮筋腫であった場合の感度は56.1%, 特異度93.8%, 子宮内膜ポリープの場合の感度は78.6%, 特異度81.4%であった. 術前診断と一致しなかった例のなかには, 術前診断が子宮筋腫であった例に子宮内膜癌(Gr1)1例, 異型子宮内膜増殖症1例, Placental site trophoblastic tumor1例, 単純型子宮内膜増殖症1例, 腺筋腫5例, adenomyosis2例, 子宮内膜ポリープであった例に単純型子宮内膜増殖症2例が含まれていた. 術前診断が子宮内膜癌の疑いであった例は病理学的には子宮筋腫であった. 子宮内膜ポリープに比べ子宮筋腫の術前診断感度が低かった. また術前に悪性疾患の診断はできなかった. 合併症として子宮穿孔1例を認めた. 子宮内腔の隆起病変に対する診断はわれわれが用いたような画像的あるいは子宮鏡下の診断だけでは不十分であった. TCRには治療のみならず, 診断的価値を考慮し適応を求めていく必要がある. |
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ISSN: | 1884-9938 |