緊急腹腔鏡にて確認された傍卵巣嚢腫合併卵管捻転の1例

卵管捻転は女性の下腹痛を呈する疾患の中では頻度が少ない疾患であり, また, 特徴的な症状や検査所見もなく, 診断は容易ではない. 今回我々は急性腹症にて来院し, 内診および経膣超音波断層画像より右卵巣嚢腫茎捻転と診断し, 緊急腹腔鏡にて卵巣嚢腫ではなく腫大した卵管の捻転を確認, 腹腔鏡下卵管切除術を施行した症例を経験したので報告する. 症例は31歳2経産の女性である. 既往歴, 月経歴に特記事項なし. 月経開始当日夕より下腹痛出現. 月経困難の既往なく, 下腹痛が出現したため当院救急外来受診. 血液検査では炎症所見なく, 当科紹介となった. 経膣超音波断層画像にて卵巣嚢腫茎捻転と診断, 即日入...

Ausführliche Beschreibung

Gespeichert in:
Bibliographische Detailangaben
Veröffentlicht in:日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2004, Vol.20 (1), p.153-153
Hauptverfasser: 渋谷伸一, 松本美奈子, 尾崎智哉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
Tags: Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
Beschreibung
Zusammenfassung:卵管捻転は女性の下腹痛を呈する疾患の中では頻度が少ない疾患であり, また, 特徴的な症状や検査所見もなく, 診断は容易ではない. 今回我々は急性腹症にて来院し, 内診および経膣超音波断層画像より右卵巣嚢腫茎捻転と診断し, 緊急腹腔鏡にて卵巣嚢腫ではなく腫大した卵管の捻転を確認, 腹腔鏡下卵管切除術を施行した症例を経験したので報告する. 症例は31歳2経産の女性である. 既往歴, 月経歴に特記事項なし. 月経開始当日夕より下腹痛出現. 月経困難の既往なく, 下腹痛が出現したため当院救急外来受診. 血液検査では炎症所見なく, 当科紹介となった. 経膣超音波断層画像にて卵巣嚢腫茎捻転と診断, 即日入院し緊急腹腔鏡を施行した. 腹腔鏡所見では卵巣腫大はなく, 狭部と膨大部の境界で時計回りに2回捻転しており, 卵管膨大部の腫大を認めたため卵管切除を行った. 卵管捻転は女性150万人に1例程度といわれる非常に稀な疾患である. 術前にCTやMRIなどの画像検査を行った報告は散見されるが, 卵管捻転の診断は困難なようである. 手術は緊急で行われることが多いため開腹となることが多いが, 低侵襲で診断的な意味も含めて腹腔鏡下手術も有用であると思われた. また, 若年者にも認められる疾患であるため卵巣の温存, 卵管の温存など妊孕性を考慮する事も重要であると思われた.
ISSN:1884-9938