腹腔鏡下骨盤リンパ節廓清後に発症した大腿神経麻痺の1例

リンパ節廓清による合併症の原因としては神経麻痺やリンパ嚢胞が一般的である. 今回, 腹腔鏡下骨盤リンパ節廓清術施行後に大腿神経麻痺を発症した1症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は56歳, 4回経妊3回経産婦で, 腹部膨満感を主訴に近医を受診し, 悪性卵巣腫瘍を疑われ当院紹介受診となった. 腫瘍は多房性であり, また腫瘍マーカーはCA19-9:47.8IU/ml CEA:221U/mlと上昇, CA125:17IU/mlであった. 悪性卵巣腫瘍を疑ったため, 腰椎麻酔下に開腹による右付属器切除術を施行, 術中迅速病理診断を行ったが, 悪性所見は認められなかった(mut...

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Veröffentlicht in:日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2004, Vol.20 (1), p.120-120
Hauptverfasser: 清水八尋, 長田尚夫, 石橋直也, 武谷千晶, 水谷美貴, 山本範子, 永石匡司, 高木健次郎, 山本樹生
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:リンパ節廓清による合併症の原因としては神経麻痺やリンパ嚢胞が一般的である. 今回, 腹腔鏡下骨盤リンパ節廓清術施行後に大腿神経麻痺を発症した1症例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する. 症例は56歳, 4回経妊3回経産婦で, 腹部膨満感を主訴に近医を受診し, 悪性卵巣腫瘍を疑われ当院紹介受診となった. 腫瘍は多房性であり, また腫瘍マーカーはCA19-9:47.8IU/ml CEA:221U/mlと上昇, CA125:17IU/mlであった. 悪性卵巣腫瘍を疑ったため, 腰椎麻酔下に開腹による右付属器切除術を施行, 術中迅速病理診断を行ったが, 悪性所見は認められなかった(mutinous cyst adenoma). 手術時間は90分, 出血量は198gであった. 術後の病理組織診断でmutinous cystic tumor, low potential malignancyを認めたため, 再度入院, 全身麻酔下に腹腔鏡下膣式子宮全摘出術, 左付属器切除術, 骨盤リンパ節廓清を施行した. 手術時間は192分, 出血量は282gであった. 術後より左大腿の知覚障害, 運動障害(歩行困難)が出現し, 支配領域より左大腿神経麻痺と診断された. メチコバールの内服, リハビリテーションを行い歩行可能にまで回復し, 退院した. 術中のビデオの再確認を行ったところ, 大腿神経に直接接触してはいなかったが, 鼠径管入口部からの出血に対して電気メスによる凝固止血を行っており, これによる熱障害と考えられた. 腹腔鏡下手術においては, 電気メスを用いた凝固止血は有用であるが, 熱障害の発生を念頭に置いた慎重な使用が必要であると改めて認識させられる症例であった.
ISSN:1884-9938