腹腔鏡検査時に採取されたヒト未成熟卵子を用いた体外成熟(IVM)‐ICSI-ET治療の検討

不妊症腹腔鏡検査治療時に, 卵巣のmultiple punctureの際未成熟卵子が採取されることがある. 臨床的には未成熟卵子を用いた配偶子操作, 体外成熟(IVM)‐ICSI-ETは, すでにPCOなどに対するIVF治療として行われ, 本邦でも妊娠例の報告がなされている. IVMの利点はいくつもあるが, これが卵子のクオリティを知る有力な手掛りになると報告されている. 我々も, 不妊症腹腔鏡検査時に採取された未成熟卵子を用いて, IVMの卵子評価により, 不妊予後を予知する事の有用性を検討してきた. 現実には腹腔鏡検査時にART適応があり(子宮内膜症III, IV期, 卵管性不妊), 同意...

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Hauptverfasser: 渡邉英明, 小林善宗, 野口奈緒子, 岡部依子, 宮香織, 山口結加, 高田智美, 猪鼻達仁, 田畑光惠, 島田薫, 岡村恵子, 会田拓也, 堀量博, 本田育子, 井上正人
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:不妊症腹腔鏡検査治療時に, 卵巣のmultiple punctureの際未成熟卵子が採取されることがある. 臨床的には未成熟卵子を用いた配偶子操作, 体外成熟(IVM)‐ICSI-ETは, すでにPCOなどに対するIVF治療として行われ, 本邦でも妊娠例の報告がなされている. IVMの利点はいくつもあるが, これが卵子のクオリティを知る有力な手掛りになると報告されている. 我々も, 不妊症腹腔鏡検査時に採取された未成熟卵子を用いて, IVMの卵子評価により, 不妊予後を予知する事の有用性を検討してきた. 現実には腹腔鏡検査時にART適応があり(子宮内膜症III, IV期, 卵管性不妊), 同意が得られた場合, IVM-ICSI-ET治療を行い妊娠成立が得られているので, IVMの臨床治療成績を検討した. H12.12H14.12の期間で, 不妊症腹腔鏡検査時に, 腹腔内所見からART適用で, 未成熟卵子が得られ(腹腔鏡下採卵), 同意が得られた74名にIVM-ICSI-ET治療を行った. 平均年齢34.8才(2642), 平均不妊期間6.6年(216)であった. 採取した未成熟卵子は, 同意を得て50μ1の非働化ヒト卵胞液に移しミネラルオイル下に培養, ICSI-ETに供した. 対照は同期間の成熟卵胞発育が困難なART適応不妊患者52名(poor responder)で86回の未成熟卵胞穿刺(経膣採卵)によるIVM-ICSI-ET治療を行った. 平均年齢42.4才(3350), 平均不妊期間は11.1年(324)であった. 対象の腹腔鏡下採卵では, 成熟率86.0%(147/171), ICSIによる受精率71.1%(101/142), ETは44回(44名)で, 臨床妊娠は4名, 継続分娩は2名であった(対移植妊娠率9.1%, 対移植分娩率45%). 不妊症腹腔鏡検査時に未成熟卵子を採取し, IVMにより卵子の評価を行うことは, 不妊予後を知るうえで有用であると思われる. また, この腹腔鏡検査時の採取でのIVM-ICSI-ET治療で分娩例が得られたことにより, IVM治療の妊娠率は高いとはいえないが治療意義はあるといえよう.
ISSN:1884-9938