良性卵巣腫瘍に対する腹腔鏡手術と開腹手術
近年, 婦人科領域では多くの疾患で腹腔鏡手術が導入されるようになってきた. しかしながら, 技術的な問題があるため開腹手術からすべてが切り替わったわけではない. 今回, 当科での過去7年間の良性卵巣腫瘍を対象に, 腹腔鏡手術と開腹手術について検討してみた. 平成9年1月1日から平成15年12月31日の7年間に当科で施行した良性の卵巣腫瘍について検討した. 腹腔鏡手術と開腹手術はそれぞれ211例と103例で, 腹腔鏡例が約2倍であった. ともに一番多い疾患は皮様嚢腫で, 腫瘍全摘出術の割合は腹腔鏡手術では13.5%であったのが, 開腹手術では64.8%であった. 手術所要時間と術前の腫瘍径は腹腔...
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Zusammenfassung: | 近年, 婦人科領域では多くの疾患で腹腔鏡手術が導入されるようになってきた. しかしながら, 技術的な問題があるため開腹手術からすべてが切り替わったわけではない. 今回, 当科での過去7年間の良性卵巣腫瘍を対象に, 腹腔鏡手術と開腹手術について検討してみた. 平成9年1月1日から平成15年12月31日の7年間に当科で施行した良性の卵巣腫瘍について検討した. 腹腔鏡手術と開腹手術はそれぞれ211例と103例で, 腹腔鏡例が約2倍であった. ともに一番多い疾患は皮様嚢腫で, 腫瘍全摘出術の割合は腹腔鏡手術では13.5%であったのが, 開腹手術では64.8%であった. 手術所要時間と術前の腫瘍径は腹腔鏡手術と開腹手術でそれぞれ平均148分, 約5.2cmと平均98分, 約7.8cmであった. ともに未婚例が51%であったが, 年齢では腹腔鏡手術例で平均32歳, 開腹手術例で平均41歳であった. 疾患別の術前腫瘍径と手術所要時間の関係をみると, 皮様嚢腫では腹腔鏡手術, 開腹手術ともに多少の傾向はあるものの, 卵巣チョコレート嚢胞については全く相関していなかった. また, 癒着と手術所要時間について腹腔鏡手術では, 皮様嚢腫での癒着症例の割合は少なかったが, 卵巣チョコレート嚢胞を合併している症例では半数以上に認められ, さらに手術時間も多くかかった. ただし, 卵巣チョコレート嚢胞例での検討では癒着症例は時間, 腫瘍径に関係なく全体に認められた. 当科でも腹腔鏡手術を指導できる医師は少ないが症例は急速に増えており, 今回の症例数比較でも2倍であった. 年齢の比較でも腹腔鏡手術例では若く, 今後も若い年代に増加してくるものと思われた. 腹腔鏡手術では明らかに開腹手術よりも手術所要時間が長かったが, 術前の腫瘍径との関連は認められなかった. 今後は, 癒着や腫瘍の状態などを考慮にいれてもう少し手術所要時間を検討する必要があると思われた. |
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ISSN: | 1884-9938 |