131.腹腔鏡にて加療を行った腹膜妊娠の1例
腹膜妊娠は稀な疾患であり, 全子宮外妊娠の0.5~5%とされている. 今回我々は, 右側卵管角部に着床した腹膜妊娠の症例に対し腹腔鏡下に加療したので報告する. 症例は, 28歳の1回経産婦人. 近医にて不妊治療中で, 子宮卵管造影にて右側卵管閉塞を指摘されていた. 平成15年2月24日より基礎体温は高温層となり, 3月19日に妊娠反応陽性となった. 3月22日には尿中hCG1000単位陽性となったが, 子宮内に胎嚢は認めず, 厳重経過観察となった. 3月24日下腹痛が出現し, 同医を受診した. 尿中hCG1000単位陽性で腹腔内に出血が疑われたため, 子宮外妊娠を疑い当院救急外来へ搬送となった...
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Veröffentlicht in: | 日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2003, Vol.19 (1), p.112-112 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 腹膜妊娠は稀な疾患であり, 全子宮外妊娠の0.5~5%とされている. 今回我々は, 右側卵管角部に着床した腹膜妊娠の症例に対し腹腔鏡下に加療したので報告する. 症例は, 28歳の1回経産婦人. 近医にて不妊治療中で, 子宮卵管造影にて右側卵管閉塞を指摘されていた. 平成15年2月24日より基礎体温は高温層となり, 3月19日に妊娠反応陽性となった. 3月22日には尿中hCG1000単位陽性となったが, 子宮内に胎嚢は認めず, 厳重経過観察となった. 3月24日下腹痛が出現し, 同医を受診した. 尿中hCG1000単位陽性で腹腔内に出血が疑われたため, 子宮外妊娠を疑い当院救急外来へ搬送となった. 当院来院時, Hb6.0g/dl, 血圧が40mmHgに低下し, 輸血を開始した. 超音波断層検査では腹腔内に多量の液体貯留を認め, 子宮内に胎嚢は認めなかった. 尿中hCG9069.9iu/literで, 子宮外妊娠疑いの診断で, 緊急腹腔鏡を行った. 腹腔内所見は, 多量の血液凝血塊を認め, 両側付属器に明らかな異常は認めなかった. 子宮の右側卵管角部に径数mmの膨隆があり, その部位より出血が持続していた. 腹腔鏡下に右側卵管角部をハーモニックスカルペルを用いて切除し, 2-0バイクリルで修復縫合した. 腹腔内の出血量は, 約3000mlでセルセーバーで回収し, 1500mlを自己血輸血した. 術前および術中の輸血はMAP4単位, FFP4単位を行った. 術後Hb11. 8g/dlであった. 術後病理組織検査では, 膨隆した病巣に絨毛細胞を認め, その部位より連続して子宮漿膜が破綻していた. 病巣と同時に切除された右側卵管間質部には絨毛細胞は認めず, 拡張や出血の所見もなかった. 以上より右側卵管角部の腹膜妊娠と診断した. 術後経過は良好で, 尿中hcG値は術後7日目には195. 8iu/1に低下し, その後順調に陰性化した. |
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ISSN: | 1884-9938 |