22.輸血および外科的処置を必要とした卵巣出血の一例
婦人科における急性腹症で腹腔内出血が原因となる疾患に子宮外妊娠と卵巣出血がある. 最近では高感度の妊娠判定試薬や経膣的超音波検査装置の普及により子宮外妊娠については早期発見が可能となった. しかしながら卵巣出血では腹腔内出血が診断の決め手となり, それを事前に予測することは不可能である. 出血量も様々で緊急手術が必要な例から自然治癒にいたる例まで色々と認められるが, 必ずしも緊急性とは一致しない. 当科では過去6年間の卵巣出血による入院例から, その多くは緊急手術を必要としないことを報告した. また緊急処置を必要としない症例ではまずは腹腔内の血液除去を目的とした経膣的超音波下穿刺術を第一選択と...
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Veröffentlicht in: | 日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2003, Vol.19 (1), p.57-57 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 婦人科における急性腹症で腹腔内出血が原因となる疾患に子宮外妊娠と卵巣出血がある. 最近では高感度の妊娠判定試薬や経膣的超音波検査装置の普及により子宮外妊娠については早期発見が可能となった. しかしながら卵巣出血では腹腔内出血が診断の決め手となり, それを事前に予測することは不可能である. 出血量も様々で緊急手術が必要な例から自然治癒にいたる例まで色々と認められるが, 必ずしも緊急性とは一致しない. 当科では過去6年間の卵巣出血による入院例から, その多くは緊急手術を必要としないことを報告した. また緊急処置を必要としない症例ではまずは腹腔内の血液除去を目的とした経膣的超音波下穿刺術を第一選択とし, そのときの1つの目安は腹腔内出血量400mlとした. 今回報告する症例は, 入院時および入院後半日間の状態や検査結果を当科での経膣的超音波下穿刺術例と比較して外科的処置は十分避けられると判断できた. ところが翌日になっても腹腔内出血は止まらず徐々に確実にHb値が低下していくため腹腔鏡手術を施行することとなった. 腹腔内出血は直ちにセルセーバーを用いて回収し約600m1返血した. 出血部は右卵巣の排卵部できわめて限局した部分ではあったが持続的に流出していたため総出血量は2000mlであった. 過去の卵巣出血の症例から検討した基準と照らし合わせて十分に保存療法が可能と判断した症例ではあったが, 結果的には腹腔内出血量2000mlで腹腔鏡手術による止血操作が必要となり, また自己回収血ではあったが輸血することとなった. それでもこのような卵巣出血はまれな症例であり, 基本的には卵巣出血は保存療法を原則として考え, 腹腔内出血を確認したからといって緊急に開腹手術を行う必要はないと考える. 術中回収式自己血輸血や腹腔鏡手術は夜間緊急には行うことは困難であり, 今回の症例はたとえ輸血や外科的処置が必要な例であってもあわてる必要のないことを証明した. |
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ISSN: | 1884-9938 |