16.妊婦に対する腹腔鏡下卵巣嚢腫核出術-妊娠16週以降の症例における工夫
これまで我々は妊娠中に発見された卵巣嚢腫に対し, 腹腔吊り上げ法による腹腔鏡下卵巣嚢腫核出術を50例以上施行してきたが, 特に妊娠16週以降の症例では増大した子宮により独特の工夫が必要となる. 今回これまでに経験した3症例を中心にその工夫を報告する. 【症例】(症例1)25歳, 初産婦. 妊娠16週, 直径6cmのダグラス窩腫瘍精査目的で前医より当科紹介と卵巣嚢腫の診断で妊娠16週, 手術を施行した. (症例2)19歳, 初産婦. 妊娠19週に右下腹部痛を主訴に前医を受診し, 卵巣嚢腫の診断で当科紹介となった. 超音波検査で右側腹部に直径8cmの腫瘍を認め, 右卵巣類皮嚢腫と診断し, 妊娠19...
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Veröffentlicht in: | 日本産科婦人科内視鏡学会雑誌 2003, Vol.19 (1), p.54-54 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | これまで我々は妊娠中に発見された卵巣嚢腫に対し, 腹腔吊り上げ法による腹腔鏡下卵巣嚢腫核出術を50例以上施行してきたが, 特に妊娠16週以降の症例では増大した子宮により独特の工夫が必要となる. 今回これまでに経験した3症例を中心にその工夫を報告する. 【症例】(症例1)25歳, 初産婦. 妊娠16週, 直径6cmのダグラス窩腫瘍精査目的で前医より当科紹介と卵巣嚢腫の診断で妊娠16週, 手術を施行した. (症例2)19歳, 初産婦. 妊娠19週に右下腹部痛を主訴に前医を受診し, 卵巣嚢腫の診断で当科紹介となった. 超音波検査で右側腹部に直径8cmの腫瘍を認め, 右卵巣類皮嚢腫と診断し, 妊娠19週5日, 手術を施行した. (症例3)31歳, 1回経産婦. 妊娠初期から直径5cmの卵巣嚢腫が認められていたが, 増大を認め圧痛が出現したため妊娠16週, 前医より当科紹介となった. 超音波検査で左側腹部に直径9.5cmの腫瘍を認め, 左卵巣類皮嚢腫の診断のもと妊娠17週1日, 手術を施行した. 【手技】嚢腫核出術の適応は, 腫瘍マーカーや超音波検査で良性腫瘍と診断されたものとした. 臍部に1cmの縦切開を加えてスコープ用とし, 腫瘍が側腹部にある場合は両者の中間に1.2mmの鋼線を皮下におき, 腹壁を吊り上げた. ダグラス窩腫瘍では, 正中に鋼線をおき腹壁を吊り上げた後経膣的に腫瘍を押し上げた. 腫瘍直上の腹壁に皮膚線条に一致させた2cmの横切開を加えてラッププロテクターミニ(11)を装着した. 卵巣嚢腫内容を穿刺後, 体外法にて卵巣嚢腫摘出術を施行した. 【結論】ラッププロテクターミニ(11)を使用することで開腹に相当する術野, および操作の自由度を得ることができた. 腫瘍の部位にあわせて吊り上げを行うことで術野, 腫瘍の可動域が広がり, 安全に外法を行うことが出来た. 腹腔鏡下卵巣嚢腫核出術は妊娠16週以降でも安全に施行しうるものと思われた. |
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ISSN: | 1884-9938 |