Acardiac Twinに対して, 胎児鏡下手術を行った一症例
〔緒言〕Acardiac twinにおけるTRAP(Twin reversed-arterial infusion)は文献によれば, 約35,000出生に対し1例の発生頻度の非常に希な疾患であるが, 無心体に対する胎児循環の負担から心不全を来たすことより生児(給血児)の予後は非常に悪く, 未治療の場合, 50~75%の死亡率が報告されている. 今回我々は, TRAPに対し, 胎児鏡(Fetoscope)を用いて無心体臍帯の焼灼術を施行した一例を経験したので報告する. 〔症例〕症例は23歳, 1妊0産. 妊娠14週, 双胎間輸血症候群の疑いで当科外来紹介受診した. 初診時に双胎の一児は児心拍確認...
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Zusammenfassung: | 〔緒言〕Acardiac twinにおけるTRAP(Twin reversed-arterial infusion)は文献によれば, 約35,000出生に対し1例の発生頻度の非常に希な疾患であるが, 無心体に対する胎児循環の負担から心不全を来たすことより生児(給血児)の予後は非常に悪く, 未治療の場合, 50~75%の死亡率が報告されている. 今回我々は, TRAPに対し, 胎児鏡(Fetoscope)を用いて無心体臍帯の焼灼術を施行した一例を経験したので報告する. 〔症例〕症例は23歳, 1妊0産. 妊娠14週, 双胎間輸血症候群の疑いで当科外来紹介受診した. 初診時に双胎の一児は児心拍確認できず, エコー上胎児奇形もありAcardiac twinと診断した. その後, 凝固系等検査しつつ経過観察していたが, 無心体の成長を認め, TRAPとして入院管理となった. 入院後, 生児の心不全徴候出現し, 徐々に悪化傾向を示したため, 充分なインフォームドコンセント後, 妊娠20週にて胎児鏡下の臍帯焼灼術を施行した. 胎児鏡下に無心体の臍帯を焼灼, Dopplerエコーにて血流遮断を確認した. 術中のビデオを供覧する. 妊娠子宮を穿刺したため, 術中出血量は1,300mlに達し輸血を要したが, 母体の全身状態に問題は無く, 術後の子宮収縮抑制のコントロールも良好であった. しかし, 術後6病日にて給血児の心停止が確認され, 21週にて死産となった. 〔結語〕給血児の心停止の原因については推察の域を出ないが, 胎児の心機能が予想以上に悪化しており, 血流遮断後の急激な後負荷上昇に耐えられなかったと思われる. 本手術の適応については, 心不全をおこしたTRAPについては唯一の治療法といっても良く, 児の生存率を高めるためには術前の心機能評価, 手術時期の決定など, さらなる検討が必要である. |
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ISSN: | 1884-9938 |