急性腹症に対する腹腔鏡の臨床的意義の検討

1998年1月から2000年3月までの期間に発生した急性腹症30例に対する腹腔鏡の臨床的意義を検討した. 腹腔鏡は外径10mmのハッソン型トラカールによるオープン法または外径3mmのNCS3027D(オリンパス社製)によるクローズド法を用いた. また全例, 気腹法で全身麻酔下に行った. 対象の年令, 身長, 体重のmean±SDは26±5.2才, 156±5.7cm, 52±7.3kgであった. また実施時間は74.3±34.6分, 出血量は186ml, 入院日数は6.7±2.6日で, 一般の腹腔鏡症例に比べ入院期間が長い傾向を示した. 対象の内訳では子宮外妊娠が21例, 70%と最も多く,...

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Hauptverfasser: 望月修, 山口万紀子, 大石晃良, 坂田麻理子, 岡田喜親, 野田恒夫
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:1998年1月から2000年3月までの期間に発生した急性腹症30例に対する腹腔鏡の臨床的意義を検討した. 腹腔鏡は外径10mmのハッソン型トラカールによるオープン法または外径3mmのNCS3027D(オリンパス社製)によるクローズド法を用いた. また全例, 気腹法で全身麻酔下に行った. 対象の年令, 身長, 体重のmean±SDは26±5.2才, 156±5.7cm, 52±7.3kgであった. また実施時間は74.3±34.6分, 出血量は186ml, 入院日数は6.7±2.6日で, 一般の腹腔鏡症例に比べ入院期間が長い傾向を示した. 対象の内訳では子宮外妊娠が21例, 70%と最も多く, 次いで卵巣出血が5例, 17%を占め, その他が4例であった. 今回の検討から本症においては, 出血に関連した疾患が主体であることが判明した. 一方, 腹腔鏡下の処置が困難なため開腹への移行が2例あり, いずれも子宮外妊娠であった. 一般に急性腹症は突発的に発生するため, 予め腹腔鏡の準備および人員の確保が困難となりがちである. しかし, 本症では妊孕能の温存が必要な若い婦人および出血に関連した疾患が多いことから, 可能なら腹腔鏡下の処置が最適である. それゆえ, いつでも腹腔鏡ができる体制作りを行ない, 平時より本症に備えておくことが極めて大切である.
ISSN:1884-9938