重症子宮内膜症に対するGnRHa, エタノール固定, 腹腔鏡下手術併用療法の効果

内膜症性嚢胞を有する重症子宮内膜症例に対しGnRHa, エタノール固定, 腹腔鏡下手術の三者併用療法の有用性を検討した. 対象は当科家族計画外来通院中の内膜症性嚢胞を有する40例で, 治療内容はGnRHaを開始し1-2ヶ月後に経膣的超音波断層法下に嚢胞穿刺し内容吸引後, エタノール固定を施行, 6ヶ月間GnRHaを継続した時点で腹腔鏡を実施した. 卵巣・卵管周囲癒着を剥離後, 卵巣の癒着剥離面または内膜症性嚢胞内腔を焼灼し, インターシードを剥離面に貼布した. 〔成績〕対象症例の年齢は平均30.3歳(21~41歳), 内膜症性嚢胞は片側性35例, 両側性2例で39個の嚢胞を認めた. 平均径49...

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Hauptverfasser: 本橋美恵子, 川内博人, 右島富士男, 石川雅一, 西島正博
Format: Tagungsbericht
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:内膜症性嚢胞を有する重症子宮内膜症例に対しGnRHa, エタノール固定, 腹腔鏡下手術の三者併用療法の有用性を検討した. 対象は当科家族計画外来通院中の内膜症性嚢胞を有する40例で, 治療内容はGnRHaを開始し1-2ヶ月後に経膣的超音波断層法下に嚢胞穿刺し内容吸引後, エタノール固定を施行, 6ヶ月間GnRHaを継続した時点で腹腔鏡を実施した. 卵巣・卵管周囲癒着を剥離後, 卵巣の癒着剥離面または内膜症性嚢胞内腔を焼灼し, インターシードを剥離面に貼布した. 〔成績〕対象症例の年齢は平均30.3歳(21~41歳), 内膜症性嚢胞は片側性35例, 両側性2例で39個の嚢胞を認めた. 平均径49.1mm(19~105mm)で平均吸引内容は42.8ml(2~230ml), 注入したエタノール量は平均14.7ml(2~40ml)であった. 6ヶ月間のGnRHa終了後施行した腹腔鏡下手術時の腹腔内所見のR-AFSスコアは平均13.7点(4~56点)で, 内膜症性嚢胞は平均径11.2mm(5~34mm)に縮小していた. エタノールの漏出に起因すると思われる癒着を認めた症例はなかった. lost to follow2例を除いた38例中8例(21.1%)に内膜症性嚢胞の再発を認めた. 挙児希望例は対象40例中31例で, このうち18例(58.1%)に妊娠が成立した. 治療終了から妊娠成立までの期間は平均7.4ヶ月(2~17ヶ月)だった. 〔結論〕内膜症性嚢胞を有する子宮内膜症例に対するGnRHa-経膣的内膜症性嚢胞内容吸引・エタノール固定-腹腔鏡下手術の併用療法は, 治療に長期間を要すが健常卵巣組織への侵襲が少なく, 内膜症性嚢胞の改善, 妊孕性の回復・温存に優れた治療法であると考えられた.
ISSN:1884-9938