MRIによる卵巣類皮嚢胞腫に対する腹腔鏡下嚢腫摘出術の難易度判定
卵巣類皮嚢胞腫は漿液性嚢胞腺腫などと異なり, 嚢腫内容が脂肪や毛髪を含むため, 腹腔鏡下に嚢腫摘出術を行う場合, 嚢腫内容の吸引除去に苦慮する場合が多い. 今回, 術前にMRI所見により腹腔鏡下嚢腫摘出術の難易度を推定し, 術中嚢腫所見および手術時間と比較検討した. 〔対象および方法〕当科において卵巣類皮嚢胞腫の診断で腹腔鏡下嚢腫摘出術を施行した患者14例を対象とした. 腹腔鏡下嚢腫摘出術は全例, つり上げ式体外法で行った. 術前のMRIの所見を基に, 以下の示す基準で対象群をEasy群とHard群に分類した. Easy群(7例)は嚢腫内の脂肪以外の内容がfluidのもの, あるいは脂肪以外の...
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Zusammenfassung: | 卵巣類皮嚢胞腫は漿液性嚢胞腺腫などと異なり, 嚢腫内容が脂肪や毛髪を含むため, 腹腔鏡下に嚢腫摘出術を行う場合, 嚢腫内容の吸引除去に苦慮する場合が多い. 今回, 術前にMRI所見により腹腔鏡下嚢腫摘出術の難易度を推定し, 術中嚢腫所見および手術時間と比較検討した. 〔対象および方法〕当科において卵巣類皮嚢胞腫の診断で腹腔鏡下嚢腫摘出術を施行した患者14例を対象とした. 腹腔鏡下嚢腫摘出術は全例, つり上げ式体外法で行った. 術前のMRIの所見を基に, 以下の示す基準で対象群をEasy群とHard群に分類した. Easy群(7例)は嚢腫内の脂肪以外の内容がfluidのもの, あるいは脂肪以外の内容がplugのもので嚢腫最大径が5.0cm未満のものとし, Hard群(7例)は嚢腫内の脂肪と脂肪以外の成分の分離が不良のもの, あるいは脂肪以外の内容がplugのもので嚢腫最大径が5.0cm以上のものとした. 全例について嚢腫穿刺開始から体外排出までの時間を計測し, 両群間で比較検討した. 〔結果〕実際の嚢腫内容液は, Easy群は全例が液状で比較的粘稠度が低かったのに対し, Hard群は6例(85.7%)が固形脂肪塊を含んだ粘稠度が高いものであった. Easy群の嚢腫穿刺開始から体外排出までの時間の平均は7.3±4.5minであったのに対し, Hard群は24.0±18.1minで両群間には有意差が認められた(P=0.0088). 〔結論〕卵巣類皮嚢胞腫において, MRI所見は嚢腫内容物をよく反映しており, 腹腔鏡下嚢腫摘出術の難易度を判定する手段として有用であると思われた. |
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ISSN: | 1884-9938 |