口腔癌細胞に対するドセタキセルの温熱増感効果

「緒言」口腔癌に対する治療成績の向上を目的に, 手術療法, 放射線療法, 化学療法の三者併用療法を中心に, 温熱療法やレーザーなどの理学的治療を組み合わせた集学的治療が行われている. 特に高齢者や全身状態の不良な症例に対しては機能温存や非侵襲的治療が求められ, 放射線治療や化学療法が選択されることが多い. このような背景の中で, より高い化学療法の奏功を期して, 多剤併用療法や動脈内注入療法が併用され, 温熱療法もその一つとして位置付けられている1-4). 悪性腫瘍に対する温熱療法はハイパーサーミアと呼ばれ, その加温方法は, 本邦ではマイクロ波やラジオ波の電磁界を用いた方法が主体で, これに...

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Veröffentlicht in:歯科薬物療法 2013/04/01, Vol.32(1), pp.1-9
Hauptverfasser: 中島, 眞里子, 岡田, 康男, 富田, 智, 又賀, 泉
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Beschreibung
Zusammenfassung:「緒言」口腔癌に対する治療成績の向上を目的に, 手術療法, 放射線療法, 化学療法の三者併用療法を中心に, 温熱療法やレーザーなどの理学的治療を組み合わせた集学的治療が行われている. 特に高齢者や全身状態の不良な症例に対しては機能温存や非侵襲的治療が求められ, 放射線治療や化学療法が選択されることが多い. このような背景の中で, より高い化学療法の奏功を期して, 多剤併用療法や動脈内注入療法が併用され, 温熱療法もその一つとして位置付けられている1-4). 悪性腫瘍に対する温熱療法はハイパーサーミアと呼ばれ, その加温方法は, 本邦ではマイクロ波やラジオ波の電磁界を用いた方法が主体で, これに放射線や化学療法を組み合わせた併用治療が行われている5-9). 温熱療法の腫瘍に対する生物学的特徴は, (1)温度が高いほど有効である, (2)温度上昇が速やかなほど有効である, (3)細胞の栄養状態が悪いほど有効で低酸素状態で有効である, (4)pHが低いほど有効である, (5)細胞がS期(DNA合成期)にあるほど有効である, (6)血流が悪いほど有効である, (7)腫瘍の組織型に関わらず抗腫瘍効果が認められるなど, 放射線療法における生物学的問題を補った治療法として注目され, 放射線抵抗性腫瘍や進展腫瘍に対しても放射線と温熱を組み合わせた温熱放射線療法が行われてきた10-17).
ISSN:0288-1012
1884-4928
DOI:10.11263/jsotp.32.1