X線およびCT上所見に乏しかったため診断に苦慮した気管支動脈肺動脈瘻大量喀血の1例

「要旨」 症例は70歳, 男性. 喀血を主訴に沼津市立病院呼吸器内科を受診した. 入院時の胸部X線胸部造影CTでは特記すべき異常所見は認められなかった. 気管支鏡では気管支腔内に血液の付着を認めたが, 出血源は同定できなかった. 経過中に大量喀血を複数回にわたり繰り返したため, 気管支動脈造影を施行したところ気管支動脈末梢と肺動脈に交通を認め, 気管支動脈肺動脈瘻の診断に至った. 塞栓後は再喀血なく経過した. CTで異常所見のない喀血例においても気管支肺動静脈瘻の可能性を考慮し, 早期に気管支動脈造影を行うことが重要であると考えられた. 「緒言」 喀血とは喉頭, 気管, 気管支, 肺から血液を...

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Veröffentlicht in:日本呼吸器学会誌 2014-07, Vol.3 (4), p.558-562
Hauptverfasser: 吉田喜子, 下村巌, 飯岡義教, 藤本肇, 橋本一樹, 吉田康秀
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Zusammenfassung:「要旨」 症例は70歳, 男性. 喀血を主訴に沼津市立病院呼吸器内科を受診した. 入院時の胸部X線胸部造影CTでは特記すべき異常所見は認められなかった. 気管支鏡では気管支腔内に血液の付着を認めたが, 出血源は同定できなかった. 経過中に大量喀血を複数回にわたり繰り返したため, 気管支動脈造影を施行したところ気管支動脈末梢と肺動脈に交通を認め, 気管支動脈肺動脈瘻の診断に至った. 塞栓後は再喀血なく経過した. CTで異常所見のない喀血例においても気管支肺動静脈瘻の可能性を考慮し, 早期に気管支動脈造影を行うことが重要であると考えられた. 「緒言」 喀血とは喉頭, 気管, 気管支, 肺から血液を喀出することを言い, 呼吸器疾患でみられる頻度の高い症状の一つである. しかし, 画像検査や気管支鏡検査を行っても9~13%が特発性喀血と診断され, 喀血の原因が明らかにならない症例もまれではない.
ISSN:2186-5876