反復する呼吸器感染を起こしたsignal transducer and activator of transcription 3(STAT3)遺伝子変異を伴う高IgE症候群の1例

「要旨」:症例は43歳, 女性. 乳児・小児期に反復する皮膚膿瘍の既往があり, 11歳時より肺炎で4回の入院歴がある. 39歳時に男児を出産したが, 同児が生後3週から難治性湿疹を呈し血清IgE高値であったため, 同児の遺伝子検索を行いsignal transducer and activator of transcription 3(STAT3)に変異を認めた. 本症例も血清IgE高値であり, 同遺伝子変異を認めた. 当院受診時の43歳時には左下葉に高度の気管支拡張を認め, 喀痰から緑膿菌を複数回検出した. その後, 同部位に反復する感染を呈したため, 左下葉切除術を施行した. STAT3の...

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Veröffentlicht in:日本呼吸器学会誌 2013-11, Vol.2 (6), p.773-777
Hauptverfasser: 倉上優一a, 関根朗雅a, 奥寺康司b, 織田恒幸a, 萩原恵里a, 馬場智尚a, 小倉高志a
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」:症例は43歳, 女性. 乳児・小児期に反復する皮膚膿瘍の既往があり, 11歳時より肺炎で4回の入院歴がある. 39歳時に男児を出産したが, 同児が生後3週から難治性湿疹を呈し血清IgE高値であったため, 同児の遺伝子検索を行いsignal transducer and activator of transcription 3(STAT3)に変異を認めた. 本症例も血清IgE高値であり, 同遺伝子変異を認めた. 当院受診時の43歳時には左下葉に高度の気管支拡張を認め, 喀痰から緑膿菌を複数回検出した. その後, 同部位に反復する感染を呈したため, 左下葉切除術を施行した. STAT3の遺伝子変異はまれであるが, 反復する呼吸器感染がある場合, 鑑別にあげる必要がある. 「緒言」 高IgE症候群は, 反復性の皮膚・肺の感染症, 新生児期から発症する難治性湿疹, 血清IgE高値を3徴候とするまれな原発性免疫不全症候群の一つであり1)2), 原因遺伝子として2007年にsignal transducer and activator of transcription 3(STAT3)遺伝子変異が報告されている3)4).
ISSN:2186-5876