第一選択薬ゲフィチニブが奏効したTrousseau症候群を合併した肺腺癌の1例

「要旨」:症例は57歳, 男性. 2010年4月咳嗽, 血痰を主訴に来院. 精査の結果, 原発性肺腺癌(cT4N3M1b)EGFR遺伝子変異陽性と診断. 第一選択薬としてゲフィチニブ投与開始. しかし, 同日より巧緻運動障害を認めた. 採血上, 凝固線溶系の亢進, 頭部MRIで多発性脳梗塞を認め, 肺腺癌によるTrousseau症候群に伴う脳梗塞と診断. 経過とともに腫瘍の縮小のみならず凝固線溶系と神経症状の改善を認めた. Trousseau症候群の機能・生命予後は不良とされゲフィチニブにより軽快しえた症例はこれまでになく, 貴重な症例と考え報告する. 「緒言」 Trousseauは1865年...

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Veröffentlicht in:日本呼吸器学会誌 2013-09, Vol.2 (5), p.556-561
Hauptverfasser: 木下ありさa, 坂本晋a, 鈴木亜衣香a, 石田文昭a, 仲村敬和b, 本間栄a
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「要旨」:症例は57歳, 男性. 2010年4月咳嗽, 血痰を主訴に来院. 精査の結果, 原発性肺腺癌(cT4N3M1b)EGFR遺伝子変異陽性と診断. 第一選択薬としてゲフィチニブ投与開始. しかし, 同日より巧緻運動障害を認めた. 採血上, 凝固線溶系の亢進, 頭部MRIで多発性脳梗塞を認め, 肺腺癌によるTrousseau症候群に伴う脳梗塞と診断. 経過とともに腫瘍の縮小のみならず凝固線溶系と神経症状の改善を認めた. Trousseau症候群の機能・生命予後は不良とされゲフィチニブにより軽快しえた症例はこれまでになく, 貴重な症例と考え報告する. 「緒言」 Trousseauは1865年に, 胃癌に合併した多発静脈血栓症に脳梗塞, 肺塞栓症を合併した病態をTrousseau症候群として初めて報告した1). 近年Trousseau症候群は, 悪性腫瘍の遠隔効果により神経症状を生じる傍腫瘍性神経症候群の1つとされ, 悪性腫瘍に伴う血液凝固亢進に伴い脳梗塞を引き起こす病態と定義されている2).
ISSN:2186-5876