標準治療後, 管内性進展による死菌播種から肺胞腔内器質化をきたした気管支結核の1例

要旨:症例は右S1の肺結核として標準治療を行った80歳, 男性. 治療終了直後, 右下葉に新規陰影が出現. 同病変の気管支洗浄液から結核菌群PCR陽性, 培養陰性, 生検で肺胞腔内器質化を認めた. 一方, 右B1では気管支結核に合致する所見を認めた. 右B1気管支結核病巣から経気道的に散布された死菌成分が局所でアレルギー反応を惹起し, 器質化病変を形成したと推察され, 結核菌死菌による局所免疫反応, いわゆる初期悪化に相当する病態と考えた. 空洞を有しない肺結核症例で同病態をみた場合, 死菌の排菌源として気管支結核を考慮すべきと考えられた. 「緒言」結核治療中に菌体成分の管内性進展から病状の悪...

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Veröffentlicht in:日本呼吸器学会誌 2013-07, Vol.2 (4), p.401-404
Hauptverfasser: 蛸井浩行, 角田義弥, 林士元, 関根朗雅, 林原賢治, 斎藤武文
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:要旨:症例は右S1の肺結核として標準治療を行った80歳, 男性. 治療終了直後, 右下葉に新規陰影が出現. 同病変の気管支洗浄液から結核菌群PCR陽性, 培養陰性, 生検で肺胞腔内器質化を認めた. 一方, 右B1では気管支結核に合致する所見を認めた. 右B1気管支結核病巣から経気道的に散布された死菌成分が局所でアレルギー反応を惹起し, 器質化病変を形成したと推察され, 結核菌死菌による局所免疫反応, いわゆる初期悪化に相当する病態と考えた. 空洞を有しない肺結核症例で同病態をみた場合, 死菌の排菌源として気管支結核を考慮すべきと考えられた. 「緒言」結核治療中に菌体成分の管内性進展から病状の悪化をきたす, いわゆる初期悪化あるいはparadoxical responseという現象はよく知られている. 肺結核治療後, 未診断であった気管支結核から経気道的に死菌が播種し, これに対するアレルギー反応によると思われる新規陰影が出現した1例を経験したので, 報告する.
ISSN:2186-5876