多発空洞性肺病変を呈したHodgkinリンパ腫の1例

要旨:症例は19歳男性. 主訴は咳嗽, 胸痛, 血痰. 胸部単純X線, 胸部CTにて肺野に多発空洞性病変を認めた. 頸部リンパ節生検よりHodgkinリンパ腫と診断されたが, 肺病変については抗酸菌感染症や真菌感染症を否定できず, 診断確定のため胸腔鏡下肺生検を施行した. 切除した肺腫瘤の組織からは抗酸菌や真菌等の病原体は認められず, CD30陽性の大型異型細胞を認め, Hodgkinリンパ腫の肺浸潤と考えられた. 肺腫瘤の中心には腫瘍細胞の浸潤により閉塞した血管を認め, 空洞形成の原因と考えられた. 化学療法により肺病変は消失した. 初発時に多発空洞性肺病変を呈したHodgkinリンパ腫はま...

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Veröffentlicht in:日本呼吸器学会誌 2012-05, Vol.1 (4), p.337-342
Hauptverfasser: 水守康之, 望月吉郎, 中原保治, 河村哲治, 佐々木信, 小橋陽一郎
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Zusammenfassung:要旨:症例は19歳男性. 主訴は咳嗽, 胸痛, 血痰. 胸部単純X線, 胸部CTにて肺野に多発空洞性病変を認めた. 頸部リンパ節生検よりHodgkinリンパ腫と診断されたが, 肺病変については抗酸菌感染症や真菌感染症を否定できず, 診断確定のため胸腔鏡下肺生検を施行した. 切除した肺腫瘤の組織からは抗酸菌や真菌等の病原体は認められず, CD30陽性の大型異型細胞を認め, Hodgkinリンパ腫の肺浸潤と考えられた. 肺腫瘤の中心には腫瘍細胞の浸潤により閉塞した血管を認め, 空洞形成の原因と考えられた. 化学療法により肺病変は消失した. 初発時に多発空洞性肺病変を呈したHodgkinリンパ腫はまれであり, 貴重な症例と考え報告する. 「緒言」悪性リンパ腫の肺野病変は, 再発例などでしばしば認められるが初発時には少なく, また結節影や浸潤影を呈するものが多く, 空洞性病変はまれである. 初発時に多発空洞性肺病変を認め, 胸腔鏡下肺生検にて病理学的に検討しえたHodgkinリンパ腫(Hodgkin's lympoma:HL)の1例を経験したので, 報告する.
ISSN:2186-5876