日本臨床麻酔学会第39回大会 シンポジウム 「麻酔科医の働き方を考える」によせて

麻酔科医は, 外科系をはじめとする多様な医療スタッフと一緒に働くため, 協調性やコミュニケーションを考える機会が多い. 女性医師の割合も多く, 女性リーダー育成や育児環境の改善にも長く取り組んできたといえる. 1985年制定の男女雇用機会均等法, 2000年代の男女共同参画と近年のダイバーシティなどの社会変化や法整備は, 麻酔科運営への後押しでもあった. また, 医療分野のタスクシフティングも社会の重要な課題である. 私たち麻酔科医は周術期管理チームの発足など, 麻酔に関連する医行為をさまざまな職種にシフトさせることで国全体のメリットとする取り組みも, 早期から行ってきた. 一方, 首都圏など...

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Veröffentlicht in:日本臨床麻酔学会誌 2021-03, Vol.41 (2), p.194-194
Hauptverfasser: 山内正憲, 上村裕一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:麻酔科医は, 外科系をはじめとする多様な医療スタッフと一緒に働くため, 協調性やコミュニケーションを考える機会が多い. 女性医師の割合も多く, 女性リーダー育成や育児環境の改善にも長く取り組んできたといえる. 1985年制定の男女雇用機会均等法, 2000年代の男女共同参画と近年のダイバーシティなどの社会変化や法整備は, 麻酔科運営への後押しでもあった. また, 医療分野のタスクシフティングも社会の重要な課題である. 私たち麻酔科医は周術期管理チームの発足など, 麻酔に関連する医行為をさまざまな職種にシフトさせることで国全体のメリットとする取り組みも, 早期から行ってきた. 一方, 首都圏などの都市部とそれ以外の地域では, 人口, 人口密度, 経済力などの地域格差が避けられず, 医療においても同様の問題が起きている. そもそもは2003年国立大学の独立法人化以降の経営問題と, 2004年からの初期臨床研修制度に伴う医師不足の顕在化に始まり, 急性期病院では手術件数の増加が施設の維持に欠かせないこと, そして高齢化社会に伴う手術や高度な検査を必要とする老年患者の増加などによっては, これまでの麻酔科医の取り組みでは追いつかない, 臨床麻酔に偏った要望が生じている. 以上の背景がある中, 令和となった2019年に働き方改革が始まり, 仕事の多様化と麻酔科医の適正配置を考える必要性が生じている. 本学会では麻酔科医の働き方について, 方向性と取り組みを考える機会を得たので報告する. まず上村が, 麻酔科医が働く環境の現状と日本麻酔科学会が取り組むタスクシフティングについて, 看護師の特定行為群研修とからめて概説した. 次に日本麻酔科学会ダイバーシティ担当でもある近江禎子先生(東京慈恵会医科大学附属第三病院麻酔科)から, 膨大な資料に基づいた女性麻酔科医の働き方と問題点を整理していただいた. 深谷赤十字病院の伊藤博院長からは, 地域の医療経営の現状と麻酔科医への期待について, 外科医の視点で述べていただいた. 最後に山内が超高齢化社会の先進地域である東北地方だからこその, 未来の麻酔科医の働き方を提示した. 学会でのシンポジウムの最後には, 座長の上村が各取り組みへの期待を述べた. それぞれの論説が, 新たな働き方や麻酔のテーマを考える機会となれば幸いである.
ISSN:0285-4945