日本における医療刑事裁判の状況─医療者の実刑事例について
1999年以降,医療刑事裁判は増加した.1950年から2017年末までの業務上過失に関連した医療刑事事件において多くは略式手続,または公判請求においても執行猶予付きの有罪となっている.しかしそのうち5件6名が実刑であり,執行猶予が付かず実刑判決を受けた要因を裁判例から検討した.その結果,①隠蔽行為があったとされたこと,②被害者が複数となったこと,③事故直後の処置に問題があったこと,④被害者・家族への対応に問題があったこと,⑤故意犯との併合の5つの要因が影響したと考える.これらの要因は医療者として倫理的にも問題があり,それが裁判官の心証形成に影響し,実刑判決に繋がったと考える....
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | 日本臨床麻酔学会誌 2020/01/15, Vol.40(1), pp.86-91 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Schlagworte: | |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 1999年以降,医療刑事裁判は増加した.1950年から2017年末までの業務上過失に関連した医療刑事事件において多くは略式手続,または公判請求においても執行猶予付きの有罪となっている.しかしそのうち5件6名が実刑であり,執行猶予が付かず実刑判決を受けた要因を裁判例から検討した.その結果,①隠蔽行為があったとされたこと,②被害者が複数となったこと,③事故直後の処置に問題があったこと,④被害者・家族への対応に問題があったこと,⑤故意犯との併合の5つの要因が影響したと考える.これらの要因は医療者として倫理的にも問題があり,それが裁判官の心証形成に影響し,実刑判決に繋がったと考える. |
---|---|
ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.40.86 |