慢性期脊髄損傷患者に対する精巣摘除術の監視下鎮静管理の経験

慢性期脊髄損傷患者の麻酔管理では,自律神経過反射(AD)が問題となる.症例は56歳,男性で第11胸髄以下の完全麻痺がある.左陰嚢膿瘍に対し精巣摘除術が予定された.日常生活でのADの既往はなく,今回膀胱内操作は行わないため,術中にADを発症する可能性は低いと考えた.無麻酔で手術を行うことも可能と考えられたが,AD発症への対応が遅れる可能性があったため,監視下鎮静管理(MAC)で行った.デクスメデトミジン(DEX)の持続投与とフェンタニルの間欠投与でBIS値35〜78,RASS−1〜−2で経過した.術中にADを発症することはなく,安全に麻酔管理ができた.DEXはADの抑制効果が報告されている.その...

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Veröffentlicht in:日本臨床麻酔学会誌 2019/11/15, Vol.39(7), pp.653-656
Hauptverfasser: 山田, 章宏, 禰宜田, 武士, 岡本, 真拓, 山家, 智紀, 宮林, 真沙代, 木村, 信行
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:慢性期脊髄損傷患者の麻酔管理では,自律神経過反射(AD)が問題となる.症例は56歳,男性で第11胸髄以下の完全麻痺がある.左陰嚢膿瘍に対し精巣摘除術が予定された.日常生活でのADの既往はなく,今回膀胱内操作は行わないため,術中にADを発症する可能性は低いと考えた.無麻酔で手術を行うことも可能と考えられたが,AD発症への対応が遅れる可能性があったため,監視下鎮静管理(MAC)で行った.デクスメデトミジン(DEX)の持続投与とフェンタニルの間欠投与でBIS値35〜78,RASS−1〜−2で経過した.術中にADを発症することはなく,安全に麻酔管理ができた.DEXはADの抑制効果が報告されている.そのため,脊髄損傷患者のMACで使用する鎮静薬として有用である可能性がある.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.39.653