基礎研究からみた術後認知機能障害の予防戦略
術後認知機能障害(postoperative cognitive dysfunction:POCD)は,手術・麻酔を契機に生じる認知機能障害で,特に高齢者において問題となる.POCDは多要因性に発症すると考えられるが,近年,その病態機序として脳内炎症が大きな要因のひとつである可能性が報告されている.脳内炎症は,手術侵襲による刺激が脳内のミクログリアを過剰に活性化させ,神経障害性の炎症性サイトカインを生産・放出することにより生じる.高齢脳が脳内炎症に脆弱なのは,ミクログリアの加齢性の炎症反応亢進を意味する“Microglia priming”の関与が指摘されている.また,“Microglia p...
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Veröffentlicht in: | 日本臨床麻酔学会誌 2018/05/15, Vol.38(3), pp.374-378 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
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Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 術後認知機能障害(postoperative cognitive dysfunction:POCD)は,手術・麻酔を契機に生じる認知機能障害で,特に高齢者において問題となる.POCDは多要因性に発症すると考えられるが,近年,その病態機序として脳内炎症が大きな要因のひとつである可能性が報告されている.脳内炎症は,手術侵襲による刺激が脳内のミクログリアを過剰に活性化させ,神経障害性の炎症性サイトカインを生産・放出することにより生じる.高齢脳が脳内炎症に脆弱なのは,ミクログリアの加齢性の炎症反応亢進を意味する“Microglia priming”の関与が指摘されている.また,“Microglia priming”は可逆的な現象であることから,術前介入の標的となりうる.本稿では,最近の知見に基づきPOCDの病態機序とその予防戦略を概説する. |
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ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.38.374 |