各科手術での使用 : 胸部 (呼吸器) 外科手術 - HPV・重症筋無力症

[要旨] 呼吸器外科手術, 特に一側肺換気を必要とする肺切除術では, HPV抑制作用を持たない静脈麻酔薬が, 吸入麻酔薬と比較して, 術中の酸素化維持に有利とされている. ただ, デスフルランを含む吸入麻酔薬には, 一側肺換気を受けた肺の抗炎症作用を認める報告が散見され, 一側肺換気を必要とする呼吸器外科手術においてデスフルランの使用がより有用となる可能性が示されている. 次に, 重症筋無力症患者の麻酔では, 麻酔終了後の残存筋弛緩の軽減が必須である. 一般に吸入麻酔薬にはそれ単独で濃度依存性の筋弛緩作用を有することが知られているが, デスフルランは体内からの急速な排せつが期待できるため筋弛緩...

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Veröffentlicht in:日本臨床麻酔学会誌 2016-07, Vol.36 (4), p.464-467
Hauptverfasser: 川西良典, 堤保夫, 田中克哉
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:[要旨] 呼吸器外科手術, 特に一側肺換気を必要とする肺切除術では, HPV抑制作用を持たない静脈麻酔薬が, 吸入麻酔薬と比較して, 術中の酸素化維持に有利とされている. ただ, デスフルランを含む吸入麻酔薬には, 一側肺換気を受けた肺の抗炎症作用を認める報告が散見され, 一側肺換気を必要とする呼吸器外科手術においてデスフルランの使用がより有用となる可能性が示されている. 次に, 重症筋無力症患者の麻酔では, 麻酔終了後の残存筋弛緩の軽減が必須である. 一般に吸入麻酔薬にはそれ単独で濃度依存性の筋弛緩作用を有することが知られているが, デスフルランは体内からの急速な排せつが期待できるため筋弛緩作用の残存も軽減できると考えられる. 術中においては濃度依存性の筋弛緩作用により体動の抑制や術野確保などに有利である可能性を持つものの, 重症筋無力症患者での使用にあたっては厳重なモニタリングが必須である.
ISSN:0285-4945