小児心臓外科術後に悪性高熱症の診断に難渋した1症例

小児の心臓血管外科術後に悪性高熱症(MH)を疑うも,診断の過程で難渋した症例を経験した.MHは近年,麻酔薬の改良に伴い,その発症頻度は漸減しているものの,麻酔における致死的合併症として念頭に置くべき疾患の1つである.しかし,心臓血管外科手術の周術期ではMHの所見を見落としやすい状況にある.さらに,骨格筋検査や遺伝子検査を行える施設は限られており,診断を得るまでに長期間を要する.本例では臨床経過からMHを強く疑って遺伝子検査を行ったが,対象となるRYR1遺伝子に変異は認めなかった.小児の先天性心奇形は,複数回にわたり手術を必要とすることも多いため,検査による診断の前にMHを疑い,早期対応をするこ...

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Veröffentlicht in:日本臨床麻酔学会誌 2013, Vol.33(5), pp.820-825
Hauptverfasser: 吉村, 真一朗, 小嶋, 大樹, 平手, 博之, 杉浦, 健之, 有馬, 一, 祖父江, 和哉
Format: Artikel
Sprache:jpn
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Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:小児の心臓血管外科術後に悪性高熱症(MH)を疑うも,診断の過程で難渋した症例を経験した.MHは近年,麻酔薬の改良に伴い,その発症頻度は漸減しているものの,麻酔における致死的合併症として念頭に置くべき疾患の1つである.しかし,心臓血管外科手術の周術期ではMHの所見を見落としやすい状況にある.さらに,骨格筋検査や遺伝子検査を行える施設は限られており,診断を得るまでに長期間を要する.本例では臨床経過からMHを強く疑って遺伝子検査を行ったが,対象となるRYR1遺伝子に変異は認めなかった.小児の先天性心奇形は,複数回にわたり手術を必要とすることも多いため,検査による診断の前にMHを疑い,早期対応をすることが望まれる.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.33.820