視床下部由来の神経ペプチドによるラット脊髄後角浅層での鎮痛の機序 - オキシトシンとオレキシンの作用

「はじめに」皮膚末梢から脊髄後角への痛み伝達は, 後根に含まれるAδ線維やC線維を持つ一次感覚ニューロンにより行われ, その後, 興奮性や抑制性の介在ニューロンから構成される脊髄後角の局所神経回路, 脳幹や視床下部から起こる下行性の痛み伝達の抑制系などの働きにより制御を受ける. 視床下部には自律神経の高次中枢などが存在し多くの生理機能を果たすが, オキシトシンやオレキシンを合成する視床下部のニューロンは脳の様々な領域に投射して社会行動, 学習・記憶, 覚醒・睡眠, 摂食, 報酬などに働いている. これらのペプチドを含むニューロンは脊髄にも投射して鎮痛を起こすことが知られている. オキシトシンに...

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Veröffentlicht in:PAIN RESEARCH 2019-09, Vol.34 (3), p.228-239
Hauptverfasser: 熊本栄一, 藤田亜美, 王チュウ
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」皮膚末梢から脊髄後角への痛み伝達は, 後根に含まれるAδ線維やC線維を持つ一次感覚ニューロンにより行われ, その後, 興奮性や抑制性の介在ニューロンから構成される脊髄後角の局所神経回路, 脳幹や視床下部から起こる下行性の痛み伝達の抑制系などの働きにより制御を受ける. 視床下部には自律神経の高次中枢などが存在し多くの生理機能を果たすが, オキシトシンやオレキシンを合成する視床下部のニューロンは脳の様々な領域に投射して社会行動, 学習・記憶, 覚醒・睡眠, 摂食, 報酬などに働いている. これらのペプチドを含むニューロンは脊髄にも投射して鎮痛を起こすことが知られている. オキシトシンについては下垂体後葉から血管系に神経内分泌されて子宮筋収縮や射乳の作用を持つことも知られている. 我々は最近, 6~8週齢の成熟雄性ラットの脊髄横断スライス標本とブラインド・ホールセル・パッチクランプ法を用い, 痛み伝達の制御に重要な役割を果たす脊髄後角の第II層(膠様質)のニューロンにおける興奮性および抑制性の自発性シナプス伝達に及ぼすオキシトシンやオレキシンの作用を調べた.
ISSN:0915-8588
DOI:10.11154/pain.34.228