骨粗鬆性疼痛モデルにおける骨の痛みの伝達経路

「はじめに : 骨粗鬆性疼痛の概念」超高齢社会の到来に伴い近年増加の一途をたどる骨粗鬆症患者では, 骨脆弱性に伴う胸腰椎の圧迫骨折や大腿骨頚部骨折等の脆弱骨外傷が時にADL・QOL障害をきたす強い疼痛を与える. 一方で日常診療の現場では明らかな外傷を伴わなくとも慢性的な疼痛を訴える骨粗鬆症患者も経験する. これらの症例ではMRI等の画像検査で有意な所見が得られないこともあり, 骨粗鬆化そのものが疼痛をきたす可能性を示唆するものである. しかしながら実際に骨傷のない骨粗鬆状態が痛みの原因になり得るのか否かについては議論も多くあり一定の見解は得られていない. 骨粗鬆性疼痛の機序の要素のひとつとして...

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Veröffentlicht in:PAIN RESEARCH 2016-12, Vol.31 (4), p.220-227
Hauptverfasser: 折田純久, 稲毛一秀, 藤本和輝, 山内かづ代, 鈴木都, 大鳥精司
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに : 骨粗鬆性疼痛の概念」超高齢社会の到来に伴い近年増加の一途をたどる骨粗鬆症患者では, 骨脆弱性に伴う胸腰椎の圧迫骨折や大腿骨頚部骨折等の脆弱骨外傷が時にADL・QOL障害をきたす強い疼痛を与える. 一方で日常診療の現場では明らかな外傷を伴わなくとも慢性的な疼痛を訴える骨粗鬆症患者も経験する. これらの症例ではMRI等の画像検査で有意な所見が得られないこともあり, 骨粗鬆化そのものが疼痛をきたす可能性を示唆するものである. しかしながら実際に骨傷のない骨粗鬆状態が痛みの原因になり得るのか否かについては議論も多くあり一定の見解は得られていない. 骨粗鬆性疼痛の機序の要素のひとつとしてまず考えられるのは現在の検査・モダリティでは検知できない微小骨折や変性変化が影響していると考えられるが, 一方で閉経後女性の慢性腰痛に中枢神経系の変化が関与しているという報告や, 転移性骨腫瘍痛の成因に破骨細胞の活性化が関与しているという報告もあり, 骨粗鬆状態そのものが疼痛源となる可能性について検討する必要がある.
ISSN:0915-8588
DOI:10.11154/pain.31.220