骨の組織・微細構造 - 顕微解剖学的知見

「はじめに」骨組織は, リン酸カルシウム結晶およびI型コラーゲンを主成分とする骨基質と, これら骨基質を維持する細胞群, 血管, 神経から構成され, 全身を支える支持組織として機能する. 骨組織に存在する細胞群, すなわち, 骨形成を行う骨芽細胞やその前駆細胞である前骨芽細胞, 骨吸収を行う破骨細胞, そして, 骨芽細胞が自身の産生する基質に埋め込まれて分化した骨細胞は, 互いに影響を及ぼし合いながら, 骨の恒常性を維持している. 骨組織に侵害刺激が加わると, 骨膜だけでなく骨髄に分布する感覚神経によって感受され, 痛み刺激として伝達される. また, 骨疾患の中でも, 骨折, 関節炎, 癌の骨...

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Veröffentlicht in:PAIN RESEARCH 2016-12, Vol.31 (4), p.210-219
Hauptverfasser: 長谷川智香, 網塚憲生
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「はじめに」骨組織は, リン酸カルシウム結晶およびI型コラーゲンを主成分とする骨基質と, これら骨基質を維持する細胞群, 血管, 神経から構成され, 全身を支える支持組織として機能する. 骨組織に存在する細胞群, すなわち, 骨形成を行う骨芽細胞やその前駆細胞である前骨芽細胞, 骨吸収を行う破骨細胞, そして, 骨芽細胞が自身の産生する基質に埋め込まれて分化した骨細胞は, 互いに影響を及ぼし合いながら, 骨の恒常性を維持している. 骨組織に侵害刺激が加わると, 骨膜だけでなく骨髄に分布する感覚神経によって感受され, 痛み刺激として伝達される. また, 骨疾患の中でも, 骨折, 関節炎, 癌の骨転移や骨粗鬆症といった疾患が, 骨組織に痛みを引き起こすことが知られている. これらの疾患で生じる痛みの中には, 破骨細胞が分泌する酸によってもたらされるものもあり, 骨の痛みのメカニズムを解明するためには, 骨組織における神経系は無論のこと, そこに存在する細胞群も含めた骨の組織・微細構造を理解する必要がある.
ISSN:0915-8588
DOI:10.11154/pain.31.210