A6-2 脊髄後角1層の投射細胞における神経活動の可塑性の光計測法による解析

脊髄後角でのシナプス伝達の長期増強は痛覚過敏やアロディニアの惹起に重要な役割を担っていると考えられている. 我々は, 逆行染色によって識別された投射細胞からパッチクランプを行うことで, 脊髄後角1層の投射細胞が長期増強を示すことを明らかにした. しかし, パッチクランプ法では技術的に長時間の神経活動の記録は困難である. そこで我々は, 長時間記録が可能な膜電位感受性色素を用いた光計測法によって脊髄後角1層の投射細胞で起こる長期増強の計測とメカニズムの解析を試みた. 脳幹へ膜電位感受性色素を注入することによって逆行染色された脊髄後角1層の投射細胞は後根への低頻度条件刺激(2Hz, 2分間)によっ...

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Veröffentlicht in:PAIN RESEARCH 2003, Vol.18 (4), p.183-183
Hauptverfasser: 池田 弘, 楠堂 圭, 村瀬一之
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:脊髄後角でのシナプス伝達の長期増強は痛覚過敏やアロディニアの惹起に重要な役割を担っていると考えられている. 我々は, 逆行染色によって識別された投射細胞からパッチクランプを行うことで, 脊髄後角1層の投射細胞が長期増強を示すことを明らかにした. しかし, パッチクランプ法では技術的に長時間の神経活動の記録は困難である. そこで我々は, 長時間記録が可能な膜電位感受性色素を用いた光計測法によって脊髄後角1層の投射細胞で起こる長期増強の計測とメカニズムの解析を試みた. 脳幹へ膜電位感受性色素を注入することによって逆行染色された脊髄後角1層の投射細胞は後根への低頻度条件刺激(2Hz, 2分間)によって神経活動の長期増強が起こった. またこの増強は, 選択的iNOシンターゼの抑制剤AMTの投与下では抑制された. また, 短時間の低頻度刺激(2Hz, 30秒)では起きなかった長期増強がNOドナーの長時間投与によって促進された. 次に我々は, 神経線維終末の活動への低頻度刺激の影響を調べるために, 神経線維終末のみを後根より順行性に染色して計測した. その結果, 低頻度刺激によって終末の活動が長期増強された. また, その増強も同様にAMTの投与下で抑制された. これらの結果より, 本研究で見られた投射細胞の長期増強は, iNOシンターゼによって長時間NOが合成され, そのNOが終末に作用することによって起こると考えられる.
ISSN:0915-8588