アデノシンによる脊髄後角痛覚情報伝達抑制の作用機序

末梢皮膚に与えられた侵害刺激の情報は, 後根を通る1次感覚ニューロンである有髄の細いAδ線維や無髄のC線維を介して単シナプスあるいは多シナプス性に脊髄後角, 主に膠様質(第II層)に伝達される. その後, 浅層あるいは深層にある後角ニューロンを介して上位中枢に伝達され痛みとして感じられる. 膠様質における興奮性シナプス伝達は神経終末から放出されたグルタミン酸がシナプス後細胞にあるAMPA受容体に作用することにより行われるが, この伝達効率が, 脳幹から脊髄後角に至る下行性ニューロン終末から放出されたノルアドレナリン8)やセロトニン6), また, 脊髄後角で神経活動などにより局所的に放出(生成)...

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Veröffentlicht in:PAIN RESEARCH 2002, Vol.17 (2), p.63-68
Hauptverfasser: 労 力軍, 熊本栄一, 藤田亜美, 羅 層, 古江秀昌, 吉村 恵
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:末梢皮膚に与えられた侵害刺激の情報は, 後根を通る1次感覚ニューロンである有髄の細いAδ線維や無髄のC線維を介して単シナプスあるいは多シナプス性に脊髄後角, 主に膠様質(第II層)に伝達される. その後, 浅層あるいは深層にある後角ニューロンを介して上位中枢に伝達され痛みとして感じられる. 膠様質における興奮性シナプス伝達は神経終末から放出されたグルタミン酸がシナプス後細胞にあるAMPA受容体に作用することにより行われるが, この伝達効率が, 脳幹から脊髄後角に至る下行性ニューロン終末から放出されたノルアドレナリン8)やセロトニン6), また, 脊髄後角で神経活動などにより局所的に放出(生成)された神経修飾物質の働きにより変化することが痛覚情報伝達制御に重要であることが数多くの実験結果より明らかになっている10,16). 局所的に生成される内因性鎮痛物質の1つにアデノシンがある. アデノシンが鎮痛に働くことはアデノシン類似物質の脊髄腔内投与による行動生理学的な鎮痛作用5), 脊髄後角におけるアデノシン様免疫活性2)およびアデノシン受容体の存在14)などの実験結果から支持される.
ISSN:0915-8588
DOI:10.11154/pain.17.63