c-Fosアンチセンスオリゴヌクレオチドの脊髄腔内投与が及ぼすアジュバント誘導痛覚過敏への影響
末梢部への疼痛刺激により脊髄後角, 特に浅層部(LI/II)にc-Fos発現が一時的にみとめられる. この発現は神経伝達物質の転写を制御して, 感覚を修飾すると信じられている. コンプリートフロインドアジュバント(CFA)を足底部に注入すると痛覚過敏が起こり, 脊髄後角L_4-6 にc-Fos陽性ニューロンが注入1-3時間後をピークに認められる. このc-Fos発現を合成アンチセンス・オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)をL_4-6 の脊髄腔に前投与して抑制し, CFA誘導痛覚過敏への影響を調べた. (方法)前もってL_4-6 の脊髄腔にPE-10チューブを挿入, 他方の断端を皮下を通して頚部...
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Veröffentlicht in: | PAIN RESEARCH 1999-12, Vol.14 (3), p.33-33 |
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Hauptverfasser: | , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 末梢部への疼痛刺激により脊髄後角, 特に浅層部(LI/II)にc-Fos発現が一時的にみとめられる. この発現は神経伝達物質の転写を制御して, 感覚を修飾すると信じられている. コンプリートフロインドアジュバント(CFA)を足底部に注入すると痛覚過敏が起こり, 脊髄後角L_4-6 にc-Fos陽性ニューロンが注入1-3時間後をピークに認められる. このc-Fos発現を合成アンチセンス・オリゴデオキシヌクレオチド(ODN)をL_4-6 の脊髄腔に前投与して抑制し, CFA誘導痛覚過敏への影響を調べた. (方法)前もってL_4-6 の脊髄腔にPE-10チューブを挿入, 他方の断端を皮下を通して頚部に解放したラットを作成した. CFA注入4時間前にC-fosアンチセンス又はセンスODN(10nM又は25nM)を脊髄腔内投与した. ODNの配列はアンチセンスが5'GAA CAT CAT GGT CGT 3'で, センスが5'ACG ACC ATG ATG TTC 3'で, いずれもチオリン酸化(修飾化)したものである. 右後肢の足底部皮下に0.2mlのCFA(100μg Mycobacterium butyricumを含む)を注入した. CFA注入3時間後, 動物を灌流固定し, c-Fos発現に対するアンチセンスとセンスODN前投与の影響を免疫組織化学法にて確認した. 別の群ではCFA注入直後より当日は1時間毎に, 翌日からは1日毎に7日までPlantar Test(Model 7370;Ugo Basile, Verese, Italy)を用いて熱疼痛刺激に対する逃避時間を測定した. (結果)アンチセンスODNを前投与したラットのLI/IIではセンスODNを前投与したものに比べ, 有意にCFA誘導c-Fos陽性ニューロンの数を減少した. 25nMのアンチセンスODNを前投与したラットのCFA誘導痛覚過敏はセンスODNを前投与したものに比べ有意に減少したが, 10nMの前投与では有意に至らなかった. (考察及び結論)c-fosアンチセンスODNの脊髄腔への前投与がCFA誘導c-Fos発現を抑制することを確認した. c-Fos発現は疼痛認識を促進する方向に働くと考えられる. 修飾化アンチセンスODNの有効濃度は限られている. |
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ISSN: | 0915-8588 |