ラット知覚神経節における5-HT_2A リセプター産生細胞

痛覚伝達に関与する知覚神経節の小型ニューロンは, NGFに依存性でSP/CGRPを含むものと, GDNFに依存性でIB_4 lectinに標識されるものの少なくとも2種類に分けられ, それぞれが異なった痛みの伝達に関与することが示唆されている. これまで我々はセロトニンが5-HT_2A リセプターを介して知覚神経終末を興奮させ, 発痛と痛覚過敏の発症に関与していることを明らかにしてきた. 今回は, 知覚神経節において5-HT_2A リセプターを産生するニューロンがどのようなサブグループに属するかということを, in situハイブリダイゼーション(ISH)法と免疫組織学的手法により検討した....

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Veröffentlicht in:PAIN RESEARCH 1999, Vol.14 (3), p.13-13
Hauptverfasser: 岡本圭一郎, 関本征史, 根本清光, 森川吉博, 仙波恵美子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:痛覚伝達に関与する知覚神経節の小型ニューロンは, NGFに依存性でSP/CGRPを含むものと, GDNFに依存性でIB_4 lectinに標識されるものの少なくとも2種類に分けられ, それぞれが異なった痛みの伝達に関与することが示唆されている. これまで我々はセロトニンが5-HT_2A リセプターを介して知覚神経終末を興奮させ, 発痛と痛覚過敏の発症に関与していることを明らかにしてきた. 今回は, 知覚神経節において5-HT_2A リセプターを産生するニューロンがどのようなサブグループに属するかということを, in situハイブリダイゼーション(ISH)法と免疫組織学的手法により検討した. 方法:SD系雄性ラット(体重150-160g)を用いた. 固定せずに三叉神経節および後根神経節(L4, 5)を取り出し, 凍結切片作成後Zamboni液にて固定し, 抗5-HT_2A リセプター抗体(monoclonal, Pharmingen社)を用いて免疫染色を行った. 更にFITC標識IB_4 lectinおよび抗CGRP抗体を用いて蛍光二重染色を行った. また, 4% paraformaldehyde液にて灌流固定したラットの三叉神経節および後根神経節(L4, 5)の凍結切片(5μm)を作成し, 5-HT_2A リセプター遺伝子のcDNA断片(約600bp)をもとに作製した^^35 S-標識cRNAプローブを用いてISHを施行した. 連続切片上で, オリゴプローブによりCGRP mRNAおよびc-ret mRNAを検出した. 結果:正常ラットの三叉神経節および後根神経節では, 約20%の細胞が5-HT_2A リセプターに免疫陽性を示した. これらは多くが小型細胞で, 一部中型であり, CGRP陽性細胞とはほぼ完全に重なりを示した. 一方, IB_4 lectinで標識される細胞は5-HT_2A リセプター陽性細胞より更に小型で, 蛍光二重染色では一部でのみ重なりが認められた. ISH法でも小型細胞が5-HT_2A リセプターmRNAのシグナルに陽性であり, これらの細胞は連続切片でCGRP mRNAを発現することが示された. 考察:以上の結果は, NGFに依存性の小型ニューロンが5-HT_2A リセプターを発現し, セロトニンに感受性であることを示している. これらのニューロンは, 組織での炎症に伴う発痛と痛覚過敏の発症に関与しており, セロトニンもその一翼を担っていると思われる. 炎症や神経損傷などの病的状態での5-HT_2A リセプターの産生変化についても報告する.
ISSN:0915-8588