Painful legs and moving toesの1症例
足趾の不随意運動と下肢の疼痛を主症状とするPainful legs and moving toesは1971年Spillaneにより初めて報告された稀な症候群であり, その病因, 治療は未だ確立されていない. 今回我々は, 本症候群の1例に対し, フェントラミンテスト, TENS及び交感神経ブロックを行い, それらの効果から, 本症候群の病因, 治療法に若干の考察を加えたので報告する. (症例)45歳, 男性. 10年前よりうつ病の診断で当院精神科へ入退院を繰り返していた. 平成7年11月より特に誘因なく両側足趾の不随意運動及び両側下肢全体の疼痛, 両側膝部より末梢領域の冷感が出現し, 次第に...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | PAIN RESEARCH 1997, Vol.12 (3), p.198-198 |
---|---|
Hauptverfasser: | , , , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 足趾の不随意運動と下肢の疼痛を主症状とするPainful legs and moving toesは1971年Spillaneにより初めて報告された稀な症候群であり, その病因, 治療は未だ確立されていない. 今回我々は, 本症候群の1例に対し, フェントラミンテスト, TENS及び交感神経ブロックを行い, それらの効果から, 本症候群の病因, 治療法に若干の考察を加えたので報告する. (症例)45歳, 男性. 10年前よりうつ病の診断で当院精神科へ入退院を繰り返していた. 平成7年11月より特に誘因なく両側足趾の不随意運動及び両側下肢全体の疼痛, 両側膝部より末梢領域の冷感が出現し, 次第に増悪してきた. これら一連の症状は夜間や疲労時に著明であり, 精神的なストレスにより症状の悪化することもあった. 疼痛は下肢全体のビリビリする持続痛と間欠的に出現する焼けるような痛みで, この痛みの増悪は足趾の不随意運動に一致しなかった. 診断不明のまま, 精神科, 神経内科よりclonazepam, brotizolam, carbamazepine, amitriptylineなどを処方されていたが全く改善されないことから, 平成9年7月5日ペインセンターを受診した. (初診時所見)初診時うつ状態は改善されており, 表情は明るく, 対応は正常であった. 不随意運動は第I-V趾のflexion-extensionを繰り返すもので, 左右差は認められなかった. 両下肢の感覚, 筋力, 反射などの神経学的所見に異常は認められなかった. (治療経過)仙骨硬膜外ブロック(1回/週)の足趾不随意運動と下肢痛に対する有効性の持続は, 当初は約2時間であったのが, 回数を重ねるうちに約半日程度まで延長した. 両側足趾へのTENSにより, 除痛効果は認められないが, 刺激中に不随意運動は消失した. フェントラミンテストによりVASは8から5へと減少した. (考察)本症候群の病因として末梢神経病変, 中枢神経病変, 脊髄の外傷などが報告されてはいるが, 未だに不明な点が多くその治療に関しても交感神経節ブロックあるいはTENSやVibratory stimulationが有効, 一時的有効, あるいは無効と報告者により一致しない. 我々の症例においては交感神経ブロックやTENSが一時的に有効であった. 文献的には, 本症候群はなんらかの器質的原因によるneuropathic painであることが示唆されている. 今回報告した1症例の治療経過から背景疾患であるうつ病, 及びその治療目的で長期に用いた薬物との関連性も含めその病因についても検討を加えた. |
---|---|
ISSN: | 0915-8588 |