痛み刺激によるFosとZif/268発現に対するNMDAとAMPA受容体の関与
末梢組織に種々の痛み刺激を与えると, FosやZif/268などの前癌遺伝子由来のタンパクの発現が脊髄後角で顕著に促進されることはよく知られているが, GluRがその発現にどのように関与しているのかについてはあまり明らかでない. そこで, NMDARのantagonistであるAP5, AMPARのantagonistであるCNQX, または生理食塩水をカテーテルを通じて硬膜内に投与した後に, 痛み刺激としてホルマリン(5%), 熱(52℃), または機械的刺激(660g)をラットの足底に与え, FosとZif/268の発現を調べた. 痛み刺激後2時間でラットを灌流固定し, 脊髄腰膨大部を取り...
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Veröffentlicht in: | PAIN RESEARCH 1997, Vol.12 (3), p.167-167 |
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Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 末梢組織に種々の痛み刺激を与えると, FosやZif/268などの前癌遺伝子由来のタンパクの発現が脊髄後角で顕著に促進されることはよく知られているが, GluRがその発現にどのように関与しているのかについてはあまり明らかでない. そこで, NMDARのantagonistであるAP5, AMPARのantagonistであるCNQX, または生理食塩水をカテーテルを通じて硬膜内に投与した後に, 痛み刺激としてホルマリン(5%), 熱(52℃), または機械的刺激(660g)をラットの足底に与え, FosとZif/268の発現を調べた. 痛み刺激後2時間でラットを灌流固定し, 脊髄腰膨大部を取り出し, 凍結切片作製後にFosとZif/268に対する免疫組織化学を施した. 生理食塩水前処理後にこれらの痛み刺激により誘発されるFosとZif/268の発現を対照群とし, AP5またはCNQX前処理の効果を陽性細胞数の変化を指標にして検討した. 3種の痛み刺激により脊髄後角に誘発されるFosの発現はAP5の前処理により有意に抑制されたが, Zif/268の発現についてはどの痛み刺激の場合でも抑制効果は認められなかった. CNQXの前処理の場合には, 熱刺激により誘発されるFos発現だけが有意に抑制され, ホルマリンと機械的刺激により誘発されるFos発現に対してはその効果が認められなかった. 3種の痛み刺激によるZif/268の発現に対しては, AP5前処理の場合と同様にCNQXの前処理でその効果は認められなかった. このことは, 痛み刺激により脊髄後角で誘発されるFos発現とZif/268発現に対してGluRの関与の仕方が異なることを示唆し, また痛み刺激の種類により関与するGluRの型が異なることを示している. そこで, 次に, 痛み刺激によるZif/268の発現にはGluRが関与しないかどうかを検討するために, AP5とCNQXを同時に投与し, その効果について検討した. Fos発現に対して抑制効果を示す濃度のAP5とCNQXを同時に投与すると, 3種の痛み刺激により脊髄後角で誘発されるZif/268発現は痛みの種類に関係なく抑制された. このことは, 痛み刺激により誘発されるZif/268発現にもGluRが関与していることを示し, その関与の仕方がFosの場合と異なることを示唆している. |
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ISSN: | 0915-8588 |