サブスタンスP, ニューロキニンAおよびニューロキニンB誘発性疼痛関連行動に及ぼすコレシストキニンの効果

substance P(SP), neurokinin A(NKA), neurokinin B(NKB)をマウス脊髄クモ膜下腔内に投与すると, 後肢に対するlicking, bitingおよび後肢による交互のscratching等の疼痛関連行動が惹起される. 一方, 脊髄後角に存在することが知られているコレシストキニン(CCK)は, オピオイド拮抗作用および侵害刺激抑制作用といった相反する生理機能を有することが知られており, 痛覚受容機構の調節因子の一つと考えられている. そこで本実験では, SP, NKAおよびNKBをマウス脊髄クモ膜下腔内に投与した際に惹起される疼痛関連行動におよぼすコレ...

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Veröffentlicht in:PAIN RESEARCH 1997, Vol.12 (3), p.162-162
Hauptverfasser: 川村俊介, 高柳元明, 渡辺千寿子, 安藤隆一郎, 米沢章彦, 桜田忍
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:substance P(SP), neurokinin A(NKA), neurokinin B(NKB)をマウス脊髄クモ膜下腔内に投与すると, 後肢に対するlicking, bitingおよび後肢による交互のscratching等の疼痛関連行動が惹起される. 一方, 脊髄後角に存在することが知られているコレシストキニン(CCK)は, オピオイド拮抗作用および侵害刺激抑制作用といった相反する生理機能を有することが知られており, 痛覚受容機構の調節因子の一つと考えられている. そこで本実験では, SP, NKAおよびNKBをマウス脊髄クモ膜下腔内に投与した際に惹起される疼痛関連行動におよぼすコレシストキニンの効果について検討を行った. 〔実験方法〕実験には, 体重22-25gのStd-ddY系雄性マウスを使用した. マウス脊髄クモ膜下腔内(i.t.)への薬物投与は, HyldenとWilcoxの方法に準じて, マウス脊椎L5-L6の間に5μl/mouseの割合で行った. SP, NKAおよびNKBのi.t.投与は, マウスにlicking, bitingおよびscratching等の疼痛関連行動を誘発する. そこで, これらの疼痛関連行動の持続時間をSP, NKAおよびNKB i.t.投与後5分ごとに20分間測定した. 〔結果および考察〕SP(0.1 nmol/mouse, i.t.), NKA(0.2 nmol/mouse, i.t.)およびNKB(2.0 nmol/mouse, i.t.)により惹起される疼痛関連行動に対し, 脊髄クモ膜下腔内にCCK-8sを投与すると, CCK-8sの高用量(10-300pmol/mouse, i.t.)投与時には, SP, NKAおよびNKBによる疼痛関連行動を有意に抑制するにも関わらず, CCK-8sの低用量(0.3, 1pmol/mouse, i.t.)投与時には, SPおよびNKAの効果を有意に増強した. CCK関連ペプチドであるCCK-8d, pentagastrinおよびCCK-4を用いて同様の検討を行ったところ, これらのペプチドの前処理はSP, NKAおよびNKB i.t.処理により惹起される疼痛関連行動に対して有意な影響は与えなかった. 以上の結果から, CCK-8sの脊髄クモ膜下腔内への投与ではSPおよびNKAによる疼痛関連行動を高用量で減弱し, また低用量で増強するという相反した効果を有することから, CCK-8sは脊髄において一次知覚神経の痛覚伝達機構において重要な生理的役割を担っている可能性が考えられる.
ISSN:0915-8588