Central Pain症例に対する5-HT_3 受容体拮抗薬の効果

疼痛刺激によって出現するimmediate early gene(c-fos)の発現や細胞外のGlutamate, Aspartateなどの興奮性アミノ酸増加が5-HT_3 antagonistによって抑制されること, また5-HT_3 receptorがhyperalgesiaの発現に関与すること, さらに坑うつ剤の作用部位としての5-HT3 receptorの重要性についての実験結果が報告されている. 最近, 5-HT_3 受容体拮抗薬の臨床応用が可能となり, 5-HT_3 受容体拮抗薬によって疼痛の著しい軽減を認めたCentral Pain症例を経験した. そこで, 各種のDeaffer...

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Veröffentlicht in:PAIN RESEARCH 1996, Vol.11 (3), p.193-193
Hauptverfasser: 山本隆充, 深谷親, 前島貞裕, 平山晃康, 片山容一
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:疼痛刺激によって出現するimmediate early gene(c-fos)の発現や細胞外のGlutamate, Aspartateなどの興奮性アミノ酸増加が5-HT_3 antagonistによって抑制されること, また5-HT_3 receptorがhyperalgesiaの発現に関与すること, さらに坑うつ剤の作用部位としての5-HT3 receptorの重要性についての実験結果が報告されている. 最近, 5-HT_3 受容体拮抗薬の臨床応用が可能となり, 5-HT_3 受容体拮抗薬によって疼痛の著しい軽減を認めたCentral Pain症例を経験した. そこで, 各種のDeafferentation Painの薬理学的評価に有用で, 脳神経外科的治療法の決定にも有効であるモルフィンテスト, サイアミラールテスト, ケタミンテストの結果と5-HT_3 受容体拮抗薬投与の効果との比較を行ない, Central Pain症例に対する5-HT_3 受容体拮抗薬の効果を明らかにすることを目的とした. 対象は, 視床痛10例, Wallenberg症候群2例, 脊損後疼痛2例の合計14例で, 5-HT_3 受容体拮抗薬としてgranisetron 3mgを30分かけて静脈内投与した. 5-HT_3 受容体拮抗薬の初回投与時には, 14例中7例において何らかの除痛効果が確認された. 著効例は視床痛2例, 脊損後疼痛1例で, 薬理学的テストではモルフィン, サイアミラール, ケタミンテストのいずれにもResistant, 有効例は視床痛2例, Wallenberg症候群2例でモルフィンテストにResistant, サイアミラル, ケタミンテストにSensitiveな症例であった. 以上の結果から, 5-HT_3 受容体拮抗薬が有効なCentral Pain症例の疾患特異性は認めず, 薬理学的テストではモルフィン, サイアミラール, ケタミンテストのいずれにもResistantな症例で著効を呈したので, 5-HT_3 受容体拮抗薬のCentral Painに対する除痛機序として, hyperalgesiaの抑制, c-fosの発現抑制, 興奮性アミノ酸の抑制効果のみならず, 坑うつ剤と同様の作用機序を十分に考慮する必要がある.
ISSN:0915-8588