ハリ刺激によるヒト皮膚C線維侵害受容器の活動

ハリ刺激による鎮痛や自律系への効果の発現には, 侵害受容器の興奮によって発動されるNegative Feed Back機構が重要とされている(Kumazawa, Kawakita). 今回, ヒト皮膚C線維侵害受容器(CMH)の活動と痛みの感覚を研究する目的から, 微小神経電図法によりヒト皮膚CMHの活動を導出し, その受容野へハリ刺激を行った場合のCMH活動の動勢について検討した. 方法:被検者より事前にインフォームド・コンセントを得てから実験をおこなった. 健康成人の腓骨神経より微小神経電図法により下腿部外側面, 足背部皮膚面に受容野を持つCMH-unitの活動を導出した. ハリ刺激は長さ...

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Veröffentlicht in:PAIN RESEARCH 1995, Vol.10 (3), p.153-153
Hauptverfasser: 桜井運雄, 後藤和廣, 鹿児島裕, 會澤重勝, 菅原之人, 杉山直人, 三枝加代子, 相川貞男
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:ハリ刺激による鎮痛や自律系への効果の発現には, 侵害受容器の興奮によって発動されるNegative Feed Back機構が重要とされている(Kumazawa, Kawakita). 今回, ヒト皮膚C線維侵害受容器(CMH)の活動と痛みの感覚を研究する目的から, 微小神経電図法によりヒト皮膚CMHの活動を導出し, その受容野へハリ刺激を行った場合のCMH活動の動勢について検討した. 方法:被検者より事前にインフォームド・コンセントを得てから実験をおこなった. 健康成人の腓骨神経より微小神経電図法により下腿部外側面, 足背部皮膚面に受容野を持つCMH-unitの活動を導出した. ハリ刺激は長さ40mm太さ24号鍼を用い, CMHの受容野へ鍼管を立て, 弾入切皮を行い, 置鍼あるいは雀啄回旋などの一連の施鍼操作を施した際のCMHの発射活動を観察した. また新たに試作した定頻度雀啄刺激装置でハリを雀啄した場合での反応についても検討した. 結果・考察:一連の施鍼操作のうちCMHの皮膚受容野へ鍼管を立てるだけでその発射活動が誘発された. ハリの弾入切皮を行うとCMHは一過性の相動性発射活動を示したが, 置鍼によっては持続的な緊張性発射活動はあまり認められなかった. また置鍼したハリを雀啄や回旋などの操作を施すと, 相動性の発射活動を引き起こし, unitによっては毎秒10発以上の高頻度発射も認めた. このような施鍼刺激によって誘発された発射によって, 被検者が痛みの感覚を覚えることはほとんど無く, 多くの場合がハリの存在感を知覚するのみであった. また試作した雀啄マシーンによるハリ刺激では, 刺激初期にDynamicな発射を示した後, Staticな発射を示すパターンと初期にDynamicな発射のみのパターンが観察された. 以上の結果はCMHの機械刺激に対する閾値が広範囲に分布し, 非侵害強度からその発射を起こすことにもよるが, ハリ刺激自体が点状の機械刺激であって, 末梢や中枢での空間加重が起こりずらく, たとえ高頻度の発射があっても必ずしも痛みや得気感覚として知覚されないことを示している. そしてこうした感覚入力が中枢における内因性鎮痛機構の発動や自律神経系に対し種々の反射効果を引き起こすものと考える.
ISSN:0915-8588