難治性Deafferentation Painに対する脳脊髄刺激療法の効果

(目的)難治性のdeafferentation pain(DP)の治療を目的として, deafferentationの部位に対応して脊髄刺激, 脳深部刺激, 大脳皮質刺激などを臨床応用してきた. 各種のDPにおける神経の損傷部位ならびに疼痛の薬理学的評価と, 脳脊髄刺激療法の除痛効果を比較し, 難治性DPに対する脳脊髄刺激療法の適応と効果について検討した. (方法)薬理学的な疼痛の評価法としては, morphine test, thiamylal testならびにketamine testを施行した. また, 神経損傷の発生した部位によって, central DP(25例)とperiphera...

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Veröffentlicht in:PAIN RESEARCH 1994, Vol.9 (3), p.170-170
Hauptverfasser: 山本隆充, 小山誠剛, 前島貞裕, 平山晃康, 片山容一, 坪川孝志
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:(目的)難治性のdeafferentation pain(DP)の治療を目的として, deafferentationの部位に対応して脊髄刺激, 脳深部刺激, 大脳皮質刺激などを臨床応用してきた. 各種のDPにおける神経の損傷部位ならびに疼痛の薬理学的評価と, 脳脊髄刺激療法の除痛効果を比較し, 難治性DPに対する脳脊髄刺激療法の適応と効果について検討した. (方法)薬理学的な疼痛の評価法としては, morphine test, thiamylal testならびにketamine testを施行した. また, 神経損傷の発生した部位によって, central DP(25例)とperipheral DP(12例)に分類した. (結果)薬理学的検討では, central DP症例では, morphine testで25例中3例(12%), thiamylal testで25例中17例(68%), ketamine testで13例中7例(54%)に除痛効果を認めた. また, peripheral DP症例では, morphine testで12例中5例(42%), thiamylal testで12例中12例(100%)で除痛効果が得られた. central DPでは, 視床痛, Wallenberg症候群, DREZ破壊後の症例に対して大脳皮質運動領刺激, 脊髄損傷後疼痛に対して脊髄刺激をおこなっているが, thiamylal testが有効であった17例中12例(71%), ketamine testが有効であった7例中5例(71%)で満足できる除痛効果が得られた. しかし, thiamylal testが無効な例では8例中0例(0%), ketamine testが無効な例では6例中1例(17%)と, 脳脊髄刺激の効果はほとんど認められなかった. peripheral DPでは, 視床知覚中継核刺激を行っているが, ヘルペス後疼痛でmorphine testが有効な症例を除くと, ほとんどの症例で除痛効果が得られ, 幻肢痛や断端痛の症例で特に有効であった. さらに, pereipheral DPの症例では, 長期間の刺激によって疼痛自体が消失してしまう症例も存在した. (考察)Thiamylal testならびにketamine testの効果から, DPの発現における興奮性アミノ酸受容体の重要性が確認された. また, morphine testを併用することによって, somatogenic painの要素を考慮することも可能で, 各種の難治性DPにおける治療効果を高めるためには, 正確な損傷部位の診断と疼痛の薬理学的背景を明らかにすることが重要と考える.
ISSN:0915-8588