視床内側下核の反応特性
〔目的〕視床内側下核(Sm)は, 前頭葉の腹外側眼窩皮質(VLO)と密接に相互投射しており, 痛覚の情動面を伝える中継核として注目されている. 近年視床への上行性痛覚抑制路の存在が報告されているなかで, 視床内側下核の反応特性とこの鎮痛系における役割について検討を加えた. 〔方法〕ウレタン麻酔下のWistar系ラットを用いて(n=13), 気管カニューレ装着後, 血圧のモニターを行い, 定位脳固定装置に固定し, Smに記録電極を, VLOに刺激電極を挿入した. Smの記録電極にはポンタミンスカイブルーを挿填したガラス管微小電極または金属微小電極を用い, ニューロンの活動を常法に, 従って記録し...
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Veröffentlicht in: | PAIN RESEARCH 1993, Vol.8 (3), p.147-147 |
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Hauptverfasser: | , , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
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Zusammenfassung: | 〔目的〕視床内側下核(Sm)は, 前頭葉の腹外側眼窩皮質(VLO)と密接に相互投射しており, 痛覚の情動面を伝える中継核として注目されている. 近年視床への上行性痛覚抑制路の存在が報告されているなかで, 視床内側下核の反応特性とこの鎮痛系における役割について検討を加えた. 〔方法〕ウレタン麻酔下のWistar系ラットを用いて(n=13), 気管カニューレ装着後, 血圧のモニターを行い, 定位脳固定装置に固定し, Smに記録電極を, VLOに刺激電極を挿入した. Smの記録電極にはポンタミンスカイブルーを挿填したガラス管微小電極または金属微小電極を用い, ニューロンの活動を常法に, 従って記録し, 皮膚への機械的刺激・線香による熱刺激, 内臓刺激としての睾丸の圧迫刺激, 挿入したバルーンによる直腸の伸展刺激などを行った際の反応性を観察した. また, VLOは双極金属電極または金属微小電極によりトレインパルスで刺激し, その際のSmの反応性を観察した. Smの記録部位, VLOの刺激部位は通電による色素注入または組織損傷によりマーキングを行い, 実験終了後, 脳をホルマリンで灌流固定し, 常法に従いニッスル染色を行い記録部位, 刺激部位を同定した. 〔結果〕記録されたSmのニューロンはほとんどが自発放電を持ち, 皮膚のピンチ刺激に反応し, 広い受容野を持つ遅順応性の特異的侵害受容ニューロンで, 広作動域ニューロンは見られなかった(n=11). そのうちの72.2%(8/11)が熱侵害刺激に応じ, 50%(5/10)が睾丸の加圧に応じた. また自発放電は直腸の伸展刺激(65~85mmHg)で71.4%(5/7)が抑制された. これらの自発放電や侵害刺激に対する反応はVLOの条件刺激中(10Hz, 30sec)に抑制され, 刺激終了後の抑制効果が約30分間持続した例もあった. 〔考察〕Smのニューロンが広い受容野を持ち, 皮膚の機械的侵害刺激・熱侵害刺激や内臓の侵害刺激という種々の刺激に対して反応したことは, 多くのconvergenceが起こっていることを示唆し, VLOの条件刺激によりSmに対する持続的抑制効果が得られたことは, これまでの解剖学的所見と併せて考えてみると, VLOからSmへの直接的な抑制の可能性の他, 中脳中心灰白質(PAG)を介した抑制路の関与も示唆された. |
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ISSN: | 0915-8588 |