脳卒中に伴う嚥下障害の予後予測‐経口摂取の可否に影響する因子の検討

嚥下造影検査(以下VF)を行った急性期脳卒中220例について, 退院時に経口摂取が可能となったか, 一部でも経管栄養を要したかを帰結としてロジスティック回帰分析による予後予測を行った. 対象の年齢75±10歳, 脳梗塞154例, 脳出血66例, 平均入院期間106±62日であった. 173例(79%)が経口摂取可能となり, 47例(21%)では胃痩等が必要であった. VF上の誤嚥, 重度の片麻痺, 画像上の両側病変が有意な予測因子として抽出された. 得られた予測式で, 2項目以上が良好な値であれば, 経口摂取可能となる確率は90%以上と予測された. しかし, 3変数とも不利な値でも, 49%の...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 2004-06, Vol.41 (6), p.421-428
Hauptverfasser: 寺岡史人, 西眞歩, 吉澤忠博, 百瀬瑞穂, 平島靖江, 市川孝子
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:嚥下造影検査(以下VF)を行った急性期脳卒中220例について, 退院時に経口摂取が可能となったか, 一部でも経管栄養を要したかを帰結としてロジスティック回帰分析による予後予測を行った. 対象の年齢75±10歳, 脳梗塞154例, 脳出血66例, 平均入院期間106±62日であった. 173例(79%)が経口摂取可能となり, 47例(21%)では胃痩等が必要であった. VF上の誤嚥, 重度の片麻痺, 画像上の両側病変が有意な予測因子として抽出された. 得られた予測式で, 2項目以上が良好な値であれば, 経口摂取可能となる確率は90%以上と予測された. しかし, 3変数とも不利な値でも, 49%の患者が経口摂取可能となっていた. 脳卒中に伴う嚥下障害の予後予測に関して, 経口摂取の可否を帰結とした研究は意外に少ない. Mannら1)は, 126例の初発脳卒中患者を前向きに6ヵ月追跡し, 肺炎の発症に相関する因子は嚥下造影検査(videonuoroscopy, 以下VF)における嚥下反射の遅延ないし消失, また病前の食事形態まで戻せないことに関連する因子は, 口腔通過時間の延長(delayed oral transit)であったと述べている. その他, 肺炎の発症を帰結とする研究は多いが, 摂食, 嚥下リハビリテーション(以下, リハ)の後に経口摂取が可能となったか否かが検討されることは稀である2~8). 誤嚥があれば肺炎を起こすとは限らず3, 5), 肺炎を起こせば経口摂取ができないわけでもない. 患者, 家族の立場に立てば, 最大の興味は今後経口摂取が可能になるのか否かということにつきるのではないだろうか.
ISSN:0034-351X