4.北海道における下肢切断者のQOL調査

【緒言】下肢切断は近年外傷や腫瘍によるものに比較して, 糖尿病, 血管原性によるものが増加している. 今回, 北海道在住の切断者のQOLをSF-36と義足使用上の質問にて調査し, 年齢, 切断高位, 切断原因による相違を検討した. 【対象と方法】下肢切断者267名にアンケートを配付し, 140名(52.4%, 平均年齢57.9歳)から回答を得た. 年齢は65歳未満が86名, 65歳以上が54名, 切断高位は膝関節より近位(大腿切断)が48名, 膝関節より遠位(下腿切断)が92名, 切断原因は外傷, 腫瘍などが116名, 糖尿病, 血管原性などが24名であった. アンケートはSF-36によるQO...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 2004-02, Vol.41 (2), p.115-115
Hauptverfasser: 成田寛志, 横串算敏, 佐古めぐみ
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:【緒言】下肢切断は近年外傷や腫瘍によるものに比較して, 糖尿病, 血管原性によるものが増加している. 今回, 北海道在住の切断者のQOLをSF-36と義足使用上の質問にて調査し, 年齢, 切断高位, 切断原因による相違を検討した. 【対象と方法】下肢切断者267名にアンケートを配付し, 140名(52.4%, 平均年齢57.9歳)から回答を得た. 年齢は65歳未満が86名, 65歳以上が54名, 切断高位は膝関節より近位(大腿切断)が48名, 膝関節より遠位(下腿切断)が92名, 切断原因は外傷, 腫瘍などが116名, 糖尿病, 血管原性などが24名であった. アンケートはSF-36によるQOLの評価と義足使用に関する30項目の質問を施行した. 【結果と考察】1)年齢による相違SF-36の8下位項目すべてにおいて65歳未満が65歳以上に比較して有意に高得点であった. 義足使用に関する設問では, 夏の汗の問題, ソケットでの傷, 衣服の破損, ソケットの不快音の4項目において65歳未満が65歳以上よりも高得点であった. 2)切断高位による比較SF-36における大腿切断と下腿切断の比較では下位項目のうち7項目で有意差がみられなかった. 義足使用に関する設問において, 大腿切断で問題となっていた項目は, 椅子に腰掛けにくい, トイレで座りにくい, 断端の清潔保持が困難であるの3項目で, 大腿ソケットの不便さと思われた. 一方, 下腿切断における問題点は疼痛であった. 3)切断原因による比較SF-36の下位項目のうち身体機能, 日常役割機能(精神), 社会生活機能, 体の痛み, 全体的健康感の5項目において糖尿病, 血管原性よりも外傷, 腫瘍による切断が高得点であった. 義足使用に関する設問において糖尿病, 血管原性切断者の問題は, 外出困難, 杖使用困難であった. それに対して, 外傷, 腫瘍による切断者の問題はソケット内の汗, 衣服の破損であった. 糖尿病, 血管原性切断は全身性の疾患であるために筋力, 筋持久力および活動性が低下しており, 外傷, 腫瘍による切断者に比較して生活の満足度も低く, 全身状態を考慮したQOL向上のための配慮が必要である.
ISSN:0034-351X