心因性によると考えられた両側下腿三頭筋筋力低下の1例

症例は30歳, 女性. 10年前より周囲の人に「歩き方がおかしい」と言われ, 半年前から歩行困難, 右足関節痛が出現したが整形外科的な異常は指摘されなかった. 既往歴は幻覚妄想状態が18歳で出現し統合失調症と診断され, 通院精神療法と内服薬による治療を継続している. 高校卒業後今年の3月まで8カ所の職場を転々とし, 3年前に結婚したが4カ月で離婚した. 初診時所見は身長161cm, 体重78kg, 徒手筋力テストで両足関節底屈2, また5分以上の連続歩行が困難であった. CPKの上昇, 左腓骨神経伝導速度の低下が認められたが, 神経内科では器質的な疾患は否定された. 理学療法を開始し本人の訴え...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 2003-10, Vol.40 (10), p.708-708
Hauptverfasser: 佐原まゆみ, 坪川操, 河崎寛孝, 山口昌夫
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:症例は30歳, 女性. 10年前より周囲の人に「歩き方がおかしい」と言われ, 半年前から歩行困難, 右足関節痛が出現したが整形外科的な異常は指摘されなかった. 既往歴は幻覚妄想状態が18歳で出現し統合失調症と診断され, 通院精神療法と内服薬による治療を継続している. 高校卒業後今年の3月まで8カ所の職場を転々とし, 3年前に結婚したが4カ月で離婚した. 初診時所見は身長161cm, 体重78kg, 徒手筋力テストで両足関節底屈2, また5分以上の連続歩行が困難であった. CPKの上昇, 左腓骨神経伝導速度の低下が認められたが, 神経内科では器質的な疾患は否定された. 理学療法を開始し本人の訴えを傾聴したところ, 3カ月後に筋力, 歩行能力の改善が見られた. 本症例における下腿三頭筋の筋力低下の原因として, 統合失調症が背景に存在し「歩き方がおかしい」との他人の言動に執着し陰性症状が出現し活動性が低下したこと, 加えて肥満により踵立ちが習癖となったことが考えられる.
ISSN:0034-351X