胸郭出口症候群の理学療法
「目的」胸郭出口症候群の病因はごく1部のものでは解っているものの, 殆どの患者では, その病因, 病態, 臨床像, 診断基準, 治療法など全てがいまも確定していない. そのため治療に難渋することが少なくない. 当科で重症の胸郭出口症候群患者3人に理学療法を中心とした治療を行い, 良好な成績が得られたので報告する. 「方法」症例はいずれも女性で年齢は16歳, 19歳, 39歳であった. 症状は頸部, 肩甲部から上肢へかけての凝り, 痛み, 上肢のしびれ感, 冷感, 腫れなど多様であったが, 特に重症の症例では頸部から上肢への強い痛みを伴ったしびれ感を主訴とし, 首を少し動かしても痛く, ものを噛...
Gespeichert in:
Veröffentlicht in: | リハビリテーション医学 2001, Vol.38 (suppl), p.S343-S343 |
---|---|
Hauptverfasser: | , |
Format: | Artikel |
Sprache: | jpn |
Online-Zugang: | Volltext |
Tags: |
Tag hinzufügen
Keine Tags, Fügen Sie den ersten Tag hinzu!
|
Zusammenfassung: | 「目的」胸郭出口症候群の病因はごく1部のものでは解っているものの, 殆どの患者では, その病因, 病態, 臨床像, 診断基準, 治療法など全てがいまも確定していない. そのため治療に難渋することが少なくない. 当科で重症の胸郭出口症候群患者3人に理学療法を中心とした治療を行い, 良好な成績が得られたので報告する. 「方法」症例はいずれも女性で年齢は16歳, 19歳, 39歳であった. 症状は頸部, 肩甲部から上肢へかけての凝り, 痛み, 上肢のしびれ感, 冷感, 腫れなど多様であったが, 特に重症の症例では頸部から上肢への強い痛みを伴ったしびれ感を主訴とし, 首を少し動かしても痛く, ものを噛むこともできなかった. 左肩の可動域制限も強かった. 当科における理学療法の中心は前, 中, 後斜角筋, 胸鎖乳突筋, 僧帽筋等肩甲帯の筋力増強を目的とした運動訓練と肩甲帯筋肉のストレッチであり, 物理療法, 装具療法, 薬物療法を併用した. 「結果」3人の患者全員で症状の著しい軽快を見た. 上記症例では週2から3回の治療を4ヵ月続けた結果左上肢の強い痛みは軽快し, しびれ感の範囲も狭くなった. 首の運動時痛も軽くなりものを噛むことができ, 日常生活には殆ど困らなくなった. ただし今も左手に力が十分はいらず, 左肩の可動域は痛みのために制限されている. 「結論」当院で治療を行った胸郭出口症候群の患者はいずれも理学療法によって症状が軽快し日常生活に支障がなくなった. 手術をしても, 治癒する割合が半分程度という報告が多い点を考えると良好な成績であると考える. |
---|---|
ISSN: | 0034-351X |