鍼通電後の筋力低下について

「目的」スポーツの現場において, 筋疲労改善を目的として, しばしば鍼通電治療が施行されている. しかし, 競技直前の鍼通電は筋疲労を惹起し, 逆効果である可能性がある. 今回われわれは, 鍼通電後の筋疲労を評価する目的で, 健常者を用いて両前腕伸筋群の鍼通電後の握力の経時変化を調査した. 「方法」健康な男女32例64肢(18~51歳 平均28.7歳)を対象とした. 両側前腕伸筋群に同一の鍼灸師が15分間の鍼通電を行い, その前後の握力を経時的に計測した. 測定にはデジタル握力計(TAKEI PHYSICAL FITNESS TEST)を用い, 鍼通電直前, 直後, 30分後に左右交互に3回ず...

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Veröffentlicht in:リハビリテーション医学 2001, Vol.38 (suppl), p.S341-S341
Hauptverfasser: 西村彰代, 北條達也, 中村悟, 國友泰輔, 坂本敏浩, 勝見泰和, 平澤泰介
Format: Artikel
Sprache:jpn
Online-Zugang:Volltext
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Beschreibung
Zusammenfassung:「目的」スポーツの現場において, 筋疲労改善を目的として, しばしば鍼通電治療が施行されている. しかし, 競技直前の鍼通電は筋疲労を惹起し, 逆効果である可能性がある. 今回われわれは, 鍼通電後の筋疲労を評価する目的で, 健常者を用いて両前腕伸筋群の鍼通電後の握力の経時変化を調査した. 「方法」健康な男女32例64肢(18~51歳 平均28.7歳)を対象とした. 両側前腕伸筋群に同一の鍼灸師が15分間の鍼通電を行い, その前後の握力を経時的に計測した. 測定にはデジタル握力計(TAKEI PHYSICAL FITNESS TEST)を用い, 鍼通電直前, 直後, 30分後に左右交互に3回ずつ握力を計測した. また, コントロール群として, 同一被検者に対して鍼通電せずに同様の方法で握力の経時変化を測定した. 握力は, 鍼通電調査から1週間以上後の鍼通電の影響のない時期に再度計測した. 握力測定では, 示指のPIP関節がほぼ直角になるように握り幅を調節し, 握力計の指針が被検者の外側に向くように保持した. 姿勢は, 上肢を対側に下垂して直立位とした. 「結果」鍼通電後の握力は, 鍼通電前値に比べて直後・30分後ともに有意に低下した. また, 鍼通電直後に最も低下し, 30分後には改善傾向を示したが, 通電直前の値にまでは回復しなかった. 通電直後は, コントロール群に比べて有意に低下していたが, 30分後には有意差はなくなっていた. 「結論」鍼通電治療後に筋力は低下することが判った. 筋力低下は短時間で回復傾向を示すが, 少なくとも競技直前の鍼通電治療は避けるべきであると考える.
ISSN:0034-351X